静岡県立相良高等学校

静岡県牧之原市波津に校舎を構える静岡県立相良高等学校は、「あいこう」の略称で地域住民に広く知られる公立高等学校です。この学校は、志太榛原地域において、普通科と商業科の両方の学科を併せ持つ唯一の高等学校であるという特徴を有しています。生徒たちは、多岐にわたる進路希望に対応できる教育環境の中で学びを深めています。

設置学科

本校には全日制課程が設けられています。学科構成は以下の通りです。

普通科: 進学をはじめ多様な進路に対応するため、文系および理系のコースが設置されています。
商業科: 時代の変化に即応した専門的な知識・技術習得を目指し、コンピューター会計コースと情報処理コースが設けられています。

校章の由来

学校のシンボルである校章には、地域の歴史と学校の成り立ちが象徴的に表現されています。校旗に用いられている地色は深い緑色であり、これは松の葉が一年を通じて変わらない姿を保つように、揺るぎない生徒の操を意味しています。校章自体は、三つの丸を組み合わせたデザインを基調としています。この三つの丸は、学校の所在地である相良の歴史的な遺構、相良城の「三の丸」に由来しています。さらに、丸の一部には波を模した意匠が施されており、これは学校の近くに広がる釘ケ浦の波打ち寄せる情景を表しています。これらの丸の中に配置されているのは、三本の松葉を組み合わせてできた三角形です。この松葉の組み合わせは、見方によっては三つの鋏が並んでいるかのように見え、「家政」を象徴しています。創立当初、中央には女学校であることを示す「女」の文字が配されていましたが、その後の学制改革を経て、現在の「高」の文字へと改められました（平成14年度生徒手帳に詳しい記述があります）。

沿革

静岡県立相良高等学校の歴史は、1927年（昭和2年）に町立相良高等家政女学校として創設されたことに始まります。同年5月20日には校舎が完成し、この日が現在も創立記念日とされています。翌1928年（昭和3年）に正式に開校し、本科200名、専攻50名の生徒を受け入れました。1930年（昭和5年）には、相良町および周辺十ヵ町村による組合立相良家政女学校となり、地域共同での学校運営が進められました。第二次世界大戦後の教育制度の変更に伴い、1946年（昭和21年）には静岡県相良高等女学校と改称され、翌1947年（昭和22年）には静岡県へと移管され県立学校となりました。1948年（昭和23年）には県立相良高校と改称されるとともに、普通課程が設置され、男女共学が実施されるなど、新たな時代への転換期を迎えました。この時、定員は450名となりました。短期間ではありましたが、1949年（昭和24年）には定時制課程も開設されていますが、同年中に廃止されています。

学校施設の整備も積極的に進められました。1959年（昭和34年）には、現在の第二体育館にあたる体育館兼講堂が落成しました。1962年（昭和37年）には商業科が併設され、当初50名の定員でスタートしました。1971年（昭和46年）には現在の第一体育館が竣工し、体育施設が充実しました。1974年（昭和49年）には格技場と弓道場が、1977年（昭和52年）にはプールがそれぞれ完成しています。この1977年には、創立50周年を記念する式典が盛大に挙行されました。1983年（昭和58年）には創立55周年記念式典が行われるとともに、特別教室棟である盈進館が竣工しました。

教育内容の多様化も進みました。1985年（昭和60年）には商業科に会計コース（1学級）が新たに設置されました。1987年（昭和62年）には部室棟（2階建）の竣工、運動場の整備、そして弓道場の移設が完了しました。1991年（平成3年）には体育館の耐震工事が竣工し、商業科には情報処理コースが3学級分設置され、情報化社会への対応が強化されました。1995年（平成7年）には普通科に、より進路選択を細分化する形で進学推進コース（1学級）と総合コース（2学級）が設置されました。

校舎の建て替えも行われました。1996年（平成8年）には新校舎建設のための仮校舎が完成し、新校舎の建築工事が始まりました。翌1997年（平成9年）には新しい校舎が完成しました。1998年（平成10年）には駐輪場や商業棟の改修工事が完了し、学習環境がさらに向上しました。同年、創立70周年と新校舎落成を祝う記念式典が催されました。また、この年にはアメリカ合衆国のケルソー高校との姉妹校提携が正式に調印され、国際交流の機会が生まれました。加えて、体育教官室やオムニコート4面を備えたテニスコートも完成するなど、施設の整備が進みました。

2007年（平成19年）には創立80周年記念式典が挙行されました。近年の改修としては、2011年（平成23年）に第一体育館の耐震補強工事が、2012年（平成24年）には格技場および弓道場の耐震補強工事がそれぞれ竣工し、施設の安全性が確保されています。2016年（平成28年）には、学科ごとの定員が見直され、普通科が240名、商業科が320名となりました。

静岡県立相良高等学校