革労協元幹部内ゲバ殺人事件

革労協元幹部内ゲバ殺人事件

革労協元幹部内ゲバ殺人事件は、1989年6月25日に埼玉県川口市で発生した衝撃的な事件です。この事件は、日本の新左翼に属する革労協狭間派が引き起こしたもので、組織内部での激しい対立が背景にあります。

事件の経緯

1980年代中頃、革労協狭間派は内部での路線対立が深刻化しました。対立を引き起こしたのは、狭間嘉明が率いる武闘派路線の狭間グループと、永井啓之に代表される穏健派路線の永井グループとの間での意見の食い違いでした。特に成田空港問題を巡り、それぞれ異なる派閥を支持する形での対立が表面化しました。

このような内部闘争は約2年続き、1988年1月には永井が「同志を権力に売り渡した」として除名されます。しかし、彼の影響力は除名後も衰えず、永井は独自に機関紙『通信』を発行し、「革労協永井派」を結成しようと試みます。

襲撃の詳細

1989年6月25日、早朝3時30分に永井の住居に6〜7人の襲撃者が現れました。彼らは黒いヘルメットを着用し、梯子を使ってベランダから侵入し、無抵抗の永井を寝袋に押し込んで自動車で連れ去りました。襲撃者は周囲の電話線を切断するなど、周到な準備を行っていました。

数時間後、永井の遺体が茨城県牛久市のトンネル内で発見されます。彼はビニールシートに包まれた状態で、鈍器で激しく殴打されており、顔すら判断できないほど損傷が激しかったということです。司法解剖の結果、死亡推定時刻は午前5時頃で、外傷性ショックにより命を奪われていたことが確認されました。

組織の反応

事件発生後、6月28日に革労協狭間派は記者会見を開き、自らの関与について言及しました。「永井は除名後、組織防衛上の活動で変調をきたしたが、殺意はなかった」と述べました。とはいえ、内ゲバによるリンチであったことを認めざるを得なかったと言えます。

事件の影響

この事件は、革労協狭間派に対する大きな影響を与えました。多数の反狭間グループが組織から脱退する動きが相次ぎ、内部の結束力が大きく揺らぎました。また、狭間らは11月に逮捕される結果となり、組織内の権力構造にも変化をもたらしました。

このように、革労協元幹部内ゲバ殺人事件は、内部抗争に伴う悲劇的な結果だけでなく、その後の新左翼の動向にも大きな影響を与えた出来事でした。

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