鞍

鞍（くら）とは

鞍は、人が馬に乗る際に使用する重要な馬具です。ウマに騎乗する際、鞍は人間の尻の形状と馬の背の構造の違いを補う役割を果たしています。実際、馬の骨格は重い物を運ぶために進化していませんので、鞍の必要性が生まれました。現代の鞍は、馬の背中の中央に位置し、クッション性や吸水性に優れた素材でできたゼッケンを基盤にしています。鞍は腹帯で固定され、安定性が求められます。

鞍の歴史

鞍は歴史的に見ると、中国の漢代に木製のものが登場し、日本には古墳時代に伝わりました。初期の日本では木製の鞍が主流でしたが、近代になると皮製のものが一般的になりました。特に、戦場での使用を考慮したデザインが求められ、例えば『平家物語』に登場する巴御前の逸話などがその一例です。敵の首を押さえつけるための形状が工夫されていました。

乗馬スタイル別の鞍

乗馬の様式は主に二つに分けられ、ウェスタン（アメリカ式）とブリティッシュ（ヨーロッパ式）があります。この二つのスタイルでは、鞍の形状や機能が異なり、ウェスタン鞍は前部にグリップがついているのが特徴です。一方、ブリティッシュ鞍は金属やプラスチック製の鐙（あぶみ）が主流であり、ウェスタン鞍では革製のものが一般的です。

また、鞍はその目的によっても異なり、例えば障害鞍は軽量化が図られ、騎手が鞍に座らず足で馬を押さえることができるよう設計されています。一般的な乗馬では尻を載せる部分が重要ですが、競馬では異なる必要性があるのです。

鞍と騎馬民族

騎馬民族は幼少期から馬に親しみを持ち、鞍を使うことなく馬に乗ることができます。しかし、馬の背中は丸いため、初めての人が鞍なしで乗ることは難しい場合が多いです。動き出すとすぐに滑り落ちてしまうこともあります。

日本の馬具メーカー

日本の唯一の馬具製造企業であるソメスサドル株式会社は、乗馬鞍や競馬鞍を手掛けています。この会社は、競馬騎手のシェアの約70%を占めており、その高品質の製品は多くの人に支持されています。

鞍に関連する用語

• - サドルステッチ: 皮革製品の縫製技術で、非常に耐久性が高く、故障しても簡単にはほどけない方式です。この技術は多くの高名な皮革ブランドに引き継がれています。
• - サイドサドル: 女性がスカートを履いて騎乗するために考案された鞍の一種で、横座りをすることで騎乗が行われます。
• - 鞍数: 騎乗した回数を示す指標で、具体的には45分から1時間の騎乗を一鞍と数えます。

このように、鞍は単なる道具ではなく、文化や歴史、技術が詰まった重要な馬具です。女性の社会進出によってサイドサドルの文化は少なくなりましたが、鞍は今なお多様な形で私たちの生活に影響を与え続けているのです。

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