鞍埼 (給糧艦)

鞍埼（くらさき）の歴史

鞍埼は日本海軍の給糧艦で、艦名は宮崎県日南市にある日南大島の岬「鞍埼鼻」に由来しています。この艦は、元々1928年に竣工した貨物船「おは丸」を母体に持ち、その後海軍によって改装され給糧艦として使用されることになります。

艦歴の概要

元艦「おは丸」

元々「おは丸」は神戸製鋼播磨造船工場で建造され、主に北海道と北樺太の間で作業員や物資の輸送に利用されていました。収容人数は一等客室に限れば5名ですが、別途約140名から265名が乗船可能であったことで、広範囲に渡る運用が行われました。また、1941年に勃発した太平洋戦争中には、特殊任務にも従事するようになり、特に重要な任務としてバリックパパン製油所の復旧を支援する任務を行いました。

1943年には事故により他の船との衝突があり、さらに同年には敵潜水艦による攻撃にも直面したことが記録されています。

海軍籍への編入

特務艦が不足していた日本海軍は、1944年におは丸を「鞍埼」として艦籍に編入しました。艦名変更により舞鶴鎮守府に所属し、連合艦隊付属の補給部隊に加わることとなります。改装工事を行い、九月から高雄へ向けての出撃を開始しました。高雄到着後は、タマ27船団としてマニラへ向けて出発し、以降も数回の船団護衛任務を遂行しました。

軍事的活動

この艦は対潜水艦戦での激しい攻撃を経験し、特に10月23から24日にかけてアメリカの潜水艦による攻撃を受け、船団の大半が沈没する事態に見舞われました。その後も艦は救助潜水艦の支援や、商船の護衛任務を続け、11月には他の船団に加わってマニラに向かう途中敵艦の攻撃を受けました。

1945年には特務艦類別等級表から運送艦として削除され、帝国特務艦籍からも除かれました。一連の任務を通じて、鞍埼は様々な艦長の下で運用され、戦時中の日本海軍の給糧艦として重要な役割を果たしました。特に小島武雄大尉や根本音松大尉が艦長を務め、艦の運用に貢献しています。

結論

鞍埼は日本海軍の中での重要な役割を担った艦であり、特に戦時の混乱期において物資輸送や救助任務に従事したことが、当時の艦艇の中でも特異な存在を成しています。この艦の歴史は、戦時中の日本海軍の厳しい運用環境や、補給部隊の重要性を物語っています。

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