韓国における死刑

韓国における死刑制度の現状と歴史

韓国では、死刑制度が存在し、その執行方法は主に「絞首刑」と定められています。また、軍刑法においては敵前逃亡や脱走、抗命罪に対して「銃殺刑」が最高刑として規定されています。国家反逆罪の場合も最高刑は死刑です。ただし、18歳未満の者には死刑が宣告されず、最高懲役15年が科されます。身体障害者や妊婦については、死刑が猶予されることもあります。

【死刑執行の歴史】
韓国における死刑執行は1997年末が最後であり、その後は金大中大統領の政権下で死刑が執行されることはありませんでした。1949年の建国以来、初めての死刑執行から1997年までに少なくとも902人が執行されたとされていますが、その詳細な記録は法務省の文書保管所での火災によって失われています。残存している文書によると、特に1954年には国家保安法違反による68件の死刑執行が記録されています。1974年には、58人のうち19人がスパイ罪で死刑となるなど、死刑の執行は特定の時期に集中していました。

また、韓国では死刑判決を下す権限が法務部長官にあり、憲法裁判所も2010年に死刑制度を合憲とする判断を示しています。これにより、現在も死刑を宣告されることがあるため、2024年1月時点では59人の死刑囚が存在しています。死刑囚については、希望すれば労働することも可能で、毎月13万から20万ウォンの作業奨励金が支給されています。

【死刑制度の議論】
死刑制度の廃止に関しては、2005年には国家人権委員会から廃止を勧告されました。一方、ソウルにおける連続殺人事件が発生した際には、被告人が全く反省の様子を見せなかったことから、死刑廃止への疑問が再燃しました。アムネスティによると、2007年には前回の死刑執行から10年以上が経過していることから、韓国は事実上の死刑廃止国家とされているとのことです。

キリスト教団体からも死刑制度の撤廃が強く訴えられており、特にカトリック大韓聖公会は、いかなる状況においても人の命を奪うことは許されないという立場を示しています。さらに、アムネスティ韓国支部も死刑囚の人権侵害について指摘しており、死刑制度への反対意見が強まっている状況です。

韓国の法務部では死刑廃止についての検討が行われましたが、結論には至っていません。さらに、政治家や大統領の中には死刑制度維持を支持する声もあり、結局、死刑制度廃止についての動きは鈍化しています。国際的には、死刑を執行した国がそれを再開するケースは見られず、もし韓国が再び死刑を執行することとなれば、外交的な圧力が強まると考えられています。

このように、韓国の死刑制度は依然として複雑な状況にあり、社会や法律の中でまさに議論が続いています。今後の制度の変化や動向に注目が集まっています。

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