韓国・朝鮮の写真史

韓国・朝鮮の写真史

韓国・朝鮮の写真史は、17世紀末から19世紀初頭にかけて、朝鮮半島での写真の歴史的発展を追いかけるものです。特に、外部との接触を制限していた李氏朝鮮の政策の影響が大きく、写真技術が浸透するのは19世紀末になってからでした。

19世紀の初期写真技術の導入

1860年代と1870年代には、少数の外国人写真家、例えばフェリーチェ・ベアトが朝鮮を訪れ、当時の朝鮮や外国での朝鮮人の姿を記録しました。1863年には、朝鮮の外交官が中国で撮影されたことが記録されていますが、その写真は残っていません。ベアトは1871年にアメリカ艦隊が江華島で行った辛未洋擾の戦闘を撮影したことでも知られています。

朝鮮最初の職業写真家たち

19世紀末になると、初めての朝鮮人写真家が登場しました。1883年にキム・ヨンウォンが最初の写真スタジオを開いたのがその一例です。彼は日本に渡航経験があり、日本人写真家ホンダ・シュンノスケの助けを借りてスタジオを設立しました。同じく1884年には、ジ・ウンヨンやファン・チュルがそれぞれのスタジオを開設しましたが、初期の写真スタジオは多くの作品を残すことができませんでした。

この時期には、日本から多くの写真家が活動に参加したことも特徴的です。彼らの影響を受けながらも、朝鮮での写真文化はまだ発展途上でした。特に、20世紀初頭までには上田貞治郎が経営する大阪の写真機店が京城に支店を開設するなど、日本からの技術移入が続きました。

日本による韓国併合と写真文化の変化

1910年に日本による韓国併合が進展すると、日本人写真家の活動が活発化し、京城写真師会が1926年に設立されるなど、組織的に写真文化が広がっていきました。1930年代には多くのアマチュア写真家が登場し、最大で千人規模の愛好者が参加するクラブも現れました。しかし、第二次世界大戦中には日本政府によって活動が制限されました。

戦後のアマチュアとプロフェッショナル

戦後の1945年には朝鮮写真芸術研究会が結成され、アマチュア写真家たちの間で芸術的な表現が主流となりました。1948年、大韓民国の成立間近には朝鮮写真文化社が写真雑誌を創刊し、1955年には大韓写真家連合会が発足しました。これにより、国内の写真文化はさらなる発展を遂げます。

1956年には韓国国内での印画紙生産が始まり、1960年代には報道写真や商業写真が普及し始めました。1970年代以降、写真は多くの韓国人の間で人気を博するようになり、今日でもその影響は続いています。

1981年には韓国写真教授協議会が発足し、1982年には韓国写真教育学会として改編され、教育の場でも写真が重要な位置を占めるようになりました。写真史を振り返ることで、韓国・朝鮮の文化的なアイデンティティや社会の変遷が見えてきます。

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