辛未洋擾

辛未洋擾（しんみようじょう）について

辛未洋擾とは1871年に発生したアメリカ海軍による朝鮮侵攻を指し、その発端はジェネラル・シャーマン号事件にあります。この事件は1866年に遡り、アメリカの武装商船が朝鮮の役人に拉致され、乗員全員が虐殺されるという悲劇的なものでした。これを受けて、アメリカは事件の真相を明らかにし、商業的関係を築くために軍艦を送りました。

発端と背景

1866年、朝鮮はアメリカの商船シャーマン号による攻撃を受けました。この事件は、朝鮮側の反応によって引き起こされたものであり、アメリカにとっては国際的な恥辱と軍事的な挑戦を意味しました。その後、1867年と1868年にアメリカの軍艦が派遣されたことによって、不穏な空気が漂い始めました。

1871年、アメリカ合衆国公使フレドリック・ローは大院君に対して謝罪と通商を求め、アジア艦隊による朝鮮派遣を命じました。この艦隊は、日本の長崎を出発し、江華島を目指しました。

軍事行動

1871年6月10日、漢江近くの江華島でアメリカ軍は草芝鎮及び徳津鎮を襲撃しました。激しい砲撃戦が展開され、アメリカ海兵隊は上陸し、戦闘が繰り広げられました。この戦いでは、朝鮮軍に240名以上の戦死者が出た一方で、アメリカ軍はわずか3名の戦死者を出すにとどまりました。

アメリカ軍の攻撃は、朝鮮側に大きな損害を与えましたが、アメリカも予想外の死者を出しました。その後、朝鮮は近代的な兵器を持った援軍を送り、アメリカ艦隊は7月3日に撤退する決断を下しました。

事後の影響

辛未洋擾の結果、アメリカは軍事的勝利を収めたものの、本来の目的であった通商関係の樹立には至りませんでした。朝鮮の大院君は依然として開国に対して強硬な姿勢を崩さず、国家としての鎖国政策を続けました。アメリカの議会はこの戦闘で戦死した15名に名誉勲章を授与し、アメリカと朝鮮の関係はさらに複雑なものとなったのです。

また、この艦隊に同行していた写真家フェリーチェ・ベアトによる撮影が行われ、朝鮮の当時の風景を捉えた貴重な記録が残されています。この戦いの関係資料の一つとして、米海軍士官学校博物館に所蔵されている「帥字旗」があります。

現在の状況

1976年には韓国政府が江華島の戦跡を復元・修復する作業を行い、広城堡などの遺跡が観光名所として知られるようになりました。これにより、辛未洋擾の歴史が地域の重要な遺産として残っていることを示しています。この戦いの後も、米朝関係は波乱に富んだものとなり、今日に至るまでその影響が色濃く残っています。

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