韓国陸軍学士士官

韓国陸軍学士士官制度：文武両道の精鋭将校育成

韓国陸軍の学士士官制度は、高度な学識と軍事能力を兼ね備えた将校を育成するため、1981年に創設されました。これは、当時、韓国を取り巻く安全保障環境が不安定な状況にあったことから、文武両道の指導者を育成する必要性が高まったことが背景にあります。

制度の創設と発展

1981年の創設当初は、主に戦闘兵科の将校を育成することに重点が置かれ、光州の尚武台（陸軍歩兵学校）で最初の632名の学士士官が任官しました。その後、陸軍3士官学校が将校養成の中心となり、1980年代中盤からは軍奨学生制度も導入されました。2010年以降は年間1期となり、2012年からは陸軍学生軍事学校で教育が行われるようになりました。

2014年までに、59期にわたって約5万人の将校が輩出され、その中には、韓国女軍学校の廃止に伴い、陸軍学士士官教育課程に統合された約2000人の女性将校も含まれています。現在も、韓国陸軍の幹部として活躍する将校を多く輩出しています。

学士士官制度の特徴

学士士官制度の大きな特徴は、その選抜基準にあります。他の将校養成課程が高校卒業者や大学在学者を対象とするのに対し、学士士官は4年制大学卒業者（予定者を含む）を基本的な要件としています。

近年では、公務員試験合格者、司法試験合格者、修士・博士課程修了者、さらには海外永住権を返上した在外同胞からの志願者も増加傾向にあります。特に、博士号取得者を比較的容易に確保できる点が、この制度の大きな魅力となっています。

選考と養成

学士士官候補生は、4年制大学卒業者（予定者を含む）または同等の学歴を持つ20歳から27歳までの男女から選抜されます。国家試験合格者や博士課程修了者は、29歳まで応募が可能です。選抜および養成課程は、アメリカのOCS（Officer Candidate School）やイギリスのサンドハースト王立陸軍士官学校を参考に設計されています。

養成教育は、2011年までは陸軍3士官学校で16週間実施されていましたが、2012年以降は陸軍学生軍事学校で行われています。教育内容は、仮入校（1週間）、軍人化教育（5週間）、将校化教育（11週間）の3段階から構成され、任官後には各兵科学校で16週間の職務補修教育が実施されます。

仮入校 (1週間):

物資・装備支給、基本規律、軍歌、法規・規定、礼儀作法等の教育

軍人化教育 (5週間):

精神教育、基礎軍事学、火器学、一般教養
制式訓練、射撃訓練、化学兵器、救急法等の基礎軍事訓練、体力鍛錬

将校化教育 (11週間):

精神教育、戦術学、リーダーシップ、教授法、部隊指揮管理
* 分隊・小隊戦術、中隊戦術、読図法、指揮統率に関する講義と実習

まとめ

韓国陸軍の学士士官制度は、高い知性と優れた指導力を備えた将校を育成し、韓国陸軍の近代化と発展に大きく貢献してきました。今後も、安全保障環境の変化に対応しながら、質の高い将校を輩出し続けることが期待されます。

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