音楽大全

音楽大全（Syntagma Musicum）

音楽の歴史や理論、楽器の詳細についてまとめられた『音楽大全』は、ドイツの作曲家でありオルガン奏者、また音楽理論家でもあるミヒャエル・プレトリウスによって書かれた作品です。この著作は1614年から1620年の間に出版され、全3巻から成っています。出版地は主にヴィッテンベルクとヴォルフェンビューテルです。なかでもこの作品は、17世紀の音楽理論や演奏実践に関する重要な資料と見なされ、現在でも多くの音楽研究者によって利用されています。

各巻の概要

『音楽大全』は以下の3つの巻から構成されています。

第1巻: De Musica Sacra (1614/15)

この巻では、宗教音楽に関する様々な考察がなされています。鍵となる内容として以下のような項目が含まれています:

• - 音楽の舞踏や古代の賛美歌についての議論
• - ミサや礼拝における音楽の重要性
• - 旧約聖書と新約聖書における器楽音楽の実践

これにより、この巻は宗教音楽の理論や実践を学ぶ上で貴重な資料となっています。

第2巻: De Organographia (1619)

この巻は、楽器に特化しており、楽器の名前や特徴、特にオルガンのタイプについて詳しい情報が記載されています。この巻は、楽器の使用方法やそれに関連する技術を詳述しており、当時の楽器研究において重要な参考資料となっています。残念ながら、日本語への翻訳はこの第2巻のみが行われています。

第3巻 (1619)

第三巻では、イタリア、フランス、イギリスおよび当時ドイツで使われている歌の特徴について説明されています。また、歌唱の際に注意が必要な事項についても言及されており、音楽理論や音楽教育の基礎となる情報が収められています。楽譜の読み方や音楽用語についても詳述されており、実践に役立つ内容が多く含まれています。

出版の背景と意義

『音楽大全』は、その内容から見ても、音楽理論や演奏技術の発展に寄与した重要な著作であることがわかります。プレトリウスは、各巻を通じて音楽教育や実践における基礎を築くことを目的としており、研究と実践が密接に結びつくような内容を提供しています。

また、未発表の第4巻も存在したとのことですが、残念ながらそれは完成することなく執筆が中断されました。このような多岐にわたる音楽情報が盛り込まれた『音楽大全』は、現在でも音楽学の発展において古典的な文献として重宝されています。

関連資料

『音楽大全』に関する情報や解説は、近年も多くの文献や資料が出版されており、プレトリウスの業績を深く理解する手助けとなっています。特に、Kite-Powellによる関連書籍は、多くの研究者にとって参考図書となっています。
音楽の美しさと深さを探求するための一助として、この著作は今後も影響力を持ち続けることでしょう。

もう一度検索