音響芸術専門学校

東京都港区西新橋にキャンパスを構える音響芸術専門学校は、学校法人東京芸術学園が設置・運営する専修学校です。主に音響、映像、そしてステージ分野で活躍するプロフェッショナルな制作スタッフの育成に力を注いでいます。

沿革

本校の歴史は、1973年に港区芝で設立された「録音技術専門学院」に始まります。これは、アジアおよび日本で初めて音響専門教育を体系的に行う機関として誕生しました。設立当初は夜間部のみが開設され、既に音響や映像の分野で働く社会人や、他大学に籍を置く学生が多く学んでいました。1976年には、校名を「音響技術専門学院」と改め、教育内容もPA（Public Address、音響拡声）や放送技術、音響機器の設計といった幅広い分野に拡大しました。同時に、現在の港区御成門近くの地に移転し、昼間部も新たに設置されました。1983年には学校教育法に基づいた専門学校としての認可を受け、「音響技術専門学校」に改称。現在の本館校舎もこの年に完成しています。

その後も教育環境の充実が図られ、卒業生向けの専門的な学びの場である「音響技術研究科」が1995年に開設。1999年には実習設備が充実した「メディアセンター」、2004年にはライブ形式の実習や学生企画イベントが可能なライブスペース「LiveQ」が相次いで完成しました。2007年には一時的に「声優・アナウンス専門課程」が設けられ、校名も「音響芸術専門学校」に変更されましたが、2020年には再び設立当初のスタッフ養成に特化する方針となり、同課程は廃止されています。2010年には、本格的な音響・照明設備を備えた「音芸ライブスタジオ∞無限」が本館校舎内に誕生し、アニメーションを含む映像作品の音響制作を担うエンジニアや音響監督を育てるための「音響監督・ビジュアルアート制作科」が開設されました。近年では、2016年に一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会の法人会員となり、舞台芸術分野との連携を強化。また、著名な舞台演出家や俳優を講師に招き、教育体制のさらなる充実を図っています。音響技術の国際的な団体であるAES（Audio Engineering Society）の日本支部事務局が校内に置かれていることも、本校の専門性の高さを物語っています。

教育内容と特徴

音響芸術専門学校の教育の最大の特長は、少人数制による丁寧で実践的な指導にあります。これにより、学生一人ひとりのレベルに応じた細やかな指導が可能となり、即戦力となる人材を育成しています。卒業生は、音楽ライブ、レコーディング、テレビ・ラジオ放送、映画、アニメーション、舞台、ミュージカルなど、エンターテインメント業界の多岐にわたる分野で、音響エンジニア、照明オペレーター、舞台監督、ディレクター、プロデューサーといった制作スタッフとして活躍しています。エンターテインメント分野の専門学校において、スタッフ養成部門に夜間部を設置しているのは全国でも珍しく、働きながら学ぶ社会人や、集中的に技術を習得したい学生にとって貴重な機会を提供しています。

カリキュラムは、ロックやポピュラー音楽を核としたレコーディング、PA、照明技術、ライブ企画制作といった内容が多くを占めますが、クラシック音楽分野での教育実績も豊富です。例えば、国内外の若手クラシック演奏家が国際コンクール応募用の審査音源を本校で収録することが多く、その技術力の高さが評価されています。また、すみだトリフォニーホールで開催される新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会の録音を、教員の指導のもと学生が担当するなど、プロの現場に触れる機会が豊富に用意されています。さらに、1996年以来、独自の教材として開発された3枚組CD「聴能トレーニング」を用いた授業を展開しており、学生の聴覚能力を高めるためのユニークな教育を行っています。

学科構成

本校は「クリエイターズ・ディビジョン（音響技術専門課程）」として、以下の学科を設置しています。

昼間部

録音・PA技術科（2年制）
ライブ音響・コンサートスタッフ科（2年制）
ミュージカル＆ステージスタッフ科（2年制）
音響監督・ビジュアルアート制作科（2年制）
音響テクニカル・アーティスト科（3年制）
音響技術研究科（1年制、本校または同系専門学校卒業生対象の付帯教育）

夜間部

* 夜間総合学科（2年制）

所在地

東京都港区西新橋3-24-10

主な出身者

映画監督の田中壱征、千葉県鎌ケ谷市長の芝田裕美、音楽家の石山貴也、作曲家の伊藤賢治など。

本校は、日本2.5次元ミュージカル協会、AES日本支部、日本舞台音響事業協同組合、日本映画テレビ技術協会、日本ポストプロダクション協会、日本音楽スタジオ協会といった、音響や舞台、映像に関連する主要な業界団体の多くに法人会員または賛助会員として参加しており、業界との連携を密にしながら、常に最新の技術と知識に基づいた教育を提供しています。

もう一度検索