響 〜小説家になる方法〜

響 〜小説家になる方法〜

『響 〜小説家になる方法〜』は、柳本光晴による日本の漫画作品で、『ビッグコミックスペリオール』（小学館）にて2014年から2019年まで連載されました。文芸界を舞台に、主人公・鮎喰響の破天荒な生き方と、その才能が周囲に与える影響を描いた作品です。単行本の累計発行部数は233万部を突破し、2017年にはマンガ大賞を受賞、2018年には実写映画化もされました。

あらすじ

出版不況に苦しむ文芸誌「木蓮」編集部に、新人賞の応募要項を無視した作品が届きます。編集者・花井ふみは、その作品『お伽の庭』にただならぬ才能を感じ、作者である鮎喰響を探し始めます。響は、高校に入学したばかりの15歳の少女で、自分の価値観を貫き、周囲と衝突しながらも、その才能で人々の生き方を変えていくことになります。

物語の展開

新人賞受賞

連絡先不明の応募作『お伽の庭』は紛れもない傑作でした。作者を探す花井は、響が15歳の高校生であることを突き止めます。響は文芸部で本の並べ方を巡って部長と衝突するなど、周囲との軋轢を生みますが、『お伽の庭』は木蓮新人賞を受賞し、世に出ることになります。授賞式では、無難な作品しか書けなくなった芥川賞作家につまらないと言い放ち、新人賞同期受賞者を殴打するなど、騒動を巻き起こしながらも、その才能は認められていきます。

芥川賞・直木賞同時受賞

凛夏は、二世作家としてデビューし話題を集めますが、響に「つまらない」と言われ、芥川賞候補を巡って勝負を挑みます。しかし、響の『お伽の庭』が芥川賞・直木賞に史上初・最年少でダブルノミネートされ、同時受賞を果たします。響は周囲の騒がしさをよそに、一切の取材を拒否し、受賞会見では記者にマイクを投げつけるなど、奔放な振る舞いを続けます。会見後、自殺しようとした芥川賞候補の作家・山本春平を救い、彼に生きる希望を与えます。

テレビ局襲撃

響の処女作は社会現象となりますが、作者が響であることを知る者はごく一部でした。響は、ラノベ作家の関口花代子にアドバイスのつもりで書いた小説が、花代子の手によって新人賞を受賞し、アニメ化されることになります。しかし、アニメ化プロデューサーが響の才能に目をつけ、彼女をアイドル化しようと企みます。響はそれを阻止するため、テレビ局の社長を人質に取り、番組を中止させます。

高校文芸コンクール

響の2作目が出版され、凛夏も2作目を発表しますが、芥川賞ノミネートはなりませんでした。一方、高校文芸コンクールで、響は短編小説で最優秀賞を受賞します。響の正体に気づいた文部科学大臣が話題作りのために利用しようとしますが、響は表彰式の壇上で彼を殴り倒します。騒動後、響はマスコミから逃れるため、行方をくらまし、卒業後にはイギリスへ留学する凛夏の姿を見送ることはありませんでした。その後、響は復学し、マスコミを手玉に取る結末を迎えます。

文芸新雑誌「雛菊」創刊

響はイギリスへの留学を決意しますが、小論社では花井を編集長として文芸新雑誌を創刊することになります。響の新連載が条件でしたが、響は新作の執筆に集中する傍ら、人気漫画家との騒動や、声優を巡るトラブルに巻き込まれます。最終的に、響は漫画版の連載を阻止し、新雑誌に新作を掲載することに成功します。

卒業、そしてイギリスへ

イギリス留学のための試験に合格した響は、卒業式で答辞を依頼されますが、面倒だからと断り続けます。卒業式当日、響は文芸部の部室に籠りますが、後輩たちに連れられ無理やり式場へ連れて行かれます。壇上では、感謝の言葉とともに、イギリスでの生活への期待を語り、卒業式を終えます。渡英後、響は同居人との出会いを経て、自身の才能を改めて認識されることになります。

登場人物

鮎喰 響（あくい ひびき）
本作の主人公。稀代の才能を持つ15歳の少女。
花井 ふみ（はない ふみ）
文芸誌「木蓮」の編集者。響の才能に惚れ込み、支え続ける。
祖父江 凛夏（そぶえ りか）
響の文芸部の先輩であり親友。小説家。
椿 涼太郎（つばき りょうたろう）
響の幼馴染。響に好意を寄せている。

実写映画

2018年には、平手友梨奈主演で実写映画『響 -HIBIKI-』が公開されました。原作の魅力を忠実に再現し、平手友梨奈の演技も高く評価されました。

『響 〜小説家になる方法〜』は、才能と葛藤、そして人間関係を描いた、読み応えのある作品です。ぜひ一度手に取ってみてください。

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