須玖岡本遺跡

須玖岡本遺跡の概要

須玖岡本遺跡（すぐおかもといせき）は、福岡県春日市岡本に存在する弥生時代を主に扱った遺跡です。この場所は古代奴国の中心として知られる須玖遺跡群の核を成しており、1986年6月24日には国の史跡に指定されました。

遺跡の位置と規模

福岡平野の春日丘陵の北側、低台地上に広がるこの遺跡群は、南北2キロメートル、東西1キロメートルの範囲に広がっており、弥生時代中期から後期にかけての大規模な遺跡が点在しています。具体的には墳丘墓、甕棺墓、青銅器鋳造跡などが確認されており、須玖遺跡群全体で約300基の墓壙が見つかっています。特に1980年の調査では、116基以上の甕棺墓群や祭祀遺構が発見され、重要な考古学的価値が評価されています。

巨石下甕棺墓

須玖岡本遺跡内に存在する巨石下甕棺墓は、1899年に発見されました。土地の所有者が新屋を建てるために巨石を移動した際、甕棺があり、その周囲から多くの遺物が出土しました。この遺物は後に地下室に保管され、「D地点」として知られる場所となりました。明治末期には八木奘三郎がこの墓に注目し、1912年以降、中山平次郎がさらに遺物を採取しました。

巨石下甕棺墓の一部

現状では、この遺跡は詳細な学術調査が進んでいないため、資料からの推測が中心になっています。周囲の発見物から、他の類似の墳丘墓と同等の規模である可能性が示されていますが、確定的な周溝の位置は未確認です。巨石が墳丘の上に設置されていた可能性があり、「被葬者の頭の後方に立石があった」と考えられています。

副葬品とその考察

この巨石下甕棺墓からは、さまざまな副葬品が出土しました。銅剣や銅矛、さらに32面以上の銅鏡が含まれており、これらの武器類から「男王墓」と推定されています。出土した銅鏡の一部には前漢の鏡が含まれており、同時代の王墓であることが示唆されています。近隣の青銅器鋳造所の遺構などからも、須玖遺跡群が古代奴国の中心地である可能性が考えられています。さらに、巨石下甕棺墓の主は「奴国王」である可能性が高いとされていますが、志賀島で発見された金印との関係は不明です。

所在地とアクセス

この遺跡は春日市岡本に位置し、春日市奴国の丘歴史資料館の近くにあります。巨石下甕棺墓の巨石は公園内に移設されて展示されています。アクセス方法としては、西鉄天神大牟田線「雑餉隈駅」または「井尻駅」から徒歩約25分、西鉄バス「須玖」から徒歩約10分、JR鹿児島本線「南福岡駅」から徒歩約15分の距離にあります。

参考資料

この遺跡に関する情報は、福岡市の歴史を研究するための資料や多くの文献に基づいており、考古学的な価値が高く評価されています。

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