須藤本家

須藤本家株式会社の概要

須藤本家株式会社は、茨城県笠間市を拠点とする伝統的な日本の酒造メーカーです。創業は平安時代の1141年以前に遡るとされており、日本酒製造会社としては最も古い歴史を誇ります。そのため、須藤本家は日本に現存する企業の中でも9番目に古い存在です。2017年時点では、55代目の当主がこの酒蔵を引き継いでいます。

創業年は正式には記録されていませんが、1141年に酒の醸造を祈るためのお札が残っていることから、その頃までには酒造りを始めたと考えられています。蔵の近くには、800年にわたって使用されている井戸から汲み上げた仕込み水が、酒造りに利用されています。須藤家は元々豪族でしたが、年貢米を活用するために酒造りを始めたとされ、その名には代々の酒蔵主の名である源右衛門だけでなく、武名の武左右衛門も含まれています。1996年には法人化され、株式会社須藤本家となりました。

現在の業務

2014年には、年間出荷高が約800石（約8万本）に達し、主な銘柄としては「郷乃誉」、「山桜桃（ゆすら）」、「花薫光（かくんこう）」などが存在します。現在の代表は、55代目の須藤源右衛門（げんえもん）で、その名は代々受け継がれています。2007年時点での従業員数は23人でした。

近代の取り組み

須藤本家は、長い歴史を持ちながらも、現当主の下で伝統を単に受け継ぐのではなく、伝統とイノベーションを融合させることを重視しています。1973年にはエージング酒や生酒を発売し、1991年には醸造用アルコールの使用を停止し、全てを純米酒に変更しました。さらに、2013年からは生産する日本酒全てを純米大吟醸にしており、品質の向上に努めています。輸出にも力を入れており、30ヵ国以上に日本酒を提供。2010年には海外での売上が全体の2割を占め、最終的には50%に引き上げることを目指しています。2007年にはインターナショナルワインチャレンジカップの日本酒部門で金賞を受賞しています。

使用する原材料

米の栽培は契約栽培により行い、山田錦や山田穂を使用していましたが、現在は地元笠間産の亀の尾系コシヒカリのみを使用しています。また、1995年には弥生時代の米に近い品種を再現し、日本酒の製造を試みる革新的なアプローチも行いました。

ブランドの魅力

主力ブランドには「郷乃誉」や「霞山」、「花薫光」、「花あわせ」、「山桜桃」などがあり、特に「花薫光」は2016年の伊勢志摩サミットの晩餐会で安倍首相夫人が主催した夕食で提供されるなど、非常に高い評価を受けています。特に、「花薫光」は超高級酒として名高く、ロマネ・コンティ社長のオーベルド・ビレーヌ氏が70万円の価値を見出すほどです。

須藤本家は、観光客にも訪れやすい場所に位置しており、日本酒の文化を広める役割も果たしています。酒蔵見学や試飲などを通じて、訪れる人々に深い文化体験を提供しています。

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