頓馬天狗

頓馬天狗

『頓馬天狗』（とんまてんぐ）は、1959年9月5日から1960年12月24日までよみうりテレビが制作し、日本テレビ系列で放送された時代劇コメディです。この番組は、脚本を手がけた花登筺と主演の大村崑によって成り立っており、ユニークなストーリー展開とコメディ要素が融合しています。なお、番組の製作には大塚製薬が一社提供として関与しました。

番組の概要

この作品は、時代劇『鞍馬天狗』のパロディであり、特にコント的な要素やスラップスティックによる笑いを織り込んだ内容が特徴です。話は毎回、大村崑演じる『頓馬天狗』が原作の敵役となる『珍選組』の近藤や土方と対峙する形で進み、その中でアクションや殺陣が展開されます。主人公のトリッキーな戦い方や軽快な戦闘スタイルが多くの視聴者に支持されました。

登場人物たちは、『近藤勇造』や『土方大三』など、実際の登場人物の名前をもじったものです。主人公の名前は「尾呂内南公」とし、これは大塚製薬の商品の名「オロナイン軟膏」から取られています。名乗りのセリフは「姓は尾呂内（オロナイン）、名は南公（軟膏）」で、視聴者に広く認知されました。

スポンサーとの関係

製薬会社をスポンサーに迎えたこともあって、ストーリーの中で主人公が困難に直面すると、特製の丸薬を飲むことで剣士・頓馬天狗に変身するという仕掛けが毎回見られました。また、オープニングでは「天狗コマーシャル」として、生コマーシャルの要素も取り入れられ、視聴者を楽しませました。

当時の録画機器は高価だったため、ほとんどの映像が保存されておらず、唯一、主演の大村が所有する数本のテープのみが現存しています。このため、残念ながら映像資料が非常に少ない状況です。

スタッフとキャスト

この番組は、東宝テレビ部と劇団・笑いの王国の協力の下で制作されました。脚本は花登筺が務め、演出は香坂信之、音楽は加納光記が担当しました。また、殺陣は的場達雄が手がけ、豪華なキャスト陣が参加しました。

主演の大村崑をはじめ、芦屋雁之助や芦屋小雁など、様々な俳優が登場し、キャラクターの魅力を引き出しました。特に、頓馬天狗や土方、近藤といったキャラクターは視聴者に強く印象付けられました。

主題歌と放送枠

主題歌は大村崑とかなりや子供会による「とんとんとんまの天狗さん」で、これは今でも多くの人に親しまれています。この曲はEPレコードとしても発売されました。

番組の放送時間は初めは毎週土曜日の午後1時15分から1時45分で、後に夜7時から7時30分に変更されました。この時間帯は視聴者にとって楽しみな土曜日のひと時として定着しました。

番組の影響とエピソード

生放送で特有のハプニングが多発した『頓馬天狗』では、視聴者に多くの笑いを提供しました。本番中にディレクターの怒号が聞こえるなど、リアルな緊張感があったようです。また、刀が外れるハプニングもあったといいます。

番組を通じて、大村の片手での抜刀が受け入れられ、多くのメディアでも取り上げられました。『まんが王』に掲載された漫画化や、丸川製菓のパッケージデザインでもその影響が見られます。

結論

『頓馬天狗』は、時代劇を基にしたコメディとして多くの視聴者に愛され、今でも語り継がれる作品となっています。この番組は大塚製薬が初めて土曜日の19時枠のスポンサーに付いたことでも、テレビ業界において重要な役割を果たしました。

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