頭文字D (映画)

『頭文字[イニシャル]Ｄ THE MOVIE』

2005年に公開された香港製作の実写映画で、しげの秀一による人気漫画『頭文字D』を原作としています。『インファナル・アフェア』シリーズを手がけたアンドリュー・ラウ、アラン・マックの両監督を中心に、香港の精鋭スタッフが実写化に挑みました。

製作背景とロケーション

本作では、主人公・藤原拓海役に台湾の人気スター、ジェイ・チョウをはじめ、香港、台湾、そして日本から、当時の若手俳優たちが多数キャスティングされました。物語の舞台となる群馬県秋名山（榛名山がモデル）周辺を中心に、撮影は全て日本国内で行われました。特に、迫力ある走行シーンのロケーションとして、新潟県の弥彦山スカイラインや群馬県渋川市などが使用されています。

カーアクションと物語

本作の大きな見どころであるカーアクションは、日本の専門チームであるタカハシレーシングが担当。原作ファンにはお馴染みの、タイヤを滑らせながらコーナーを曲がる「ドリフト」や、側溝にタイヤを落として旋回する「溝落とし」といったテクニックが、リアルかつダイナミックに映像で再現されています。物語は、主人公の藤原拓海が夏の間に行う公道バトルに焦点が当てられ、関東最速のチーム「エンペラー」を率いる須藤京一との決着、そして高橋涼介率いる「プロジェクトD」への参加を決意するまでのエピソードを基に構成されています。

原作との設定変更

実写映画化にあたり、原作からの設定変更や登場人物の統合が複数見られます。代表的な例として、藤原拓海の親友である立花樹が、原作ではガソリンスタンド店長である立花祐一の息子であり、秋名スピードスターズのリーダーという設定に変更されています。また、原作の主要キャラクターの一人である高橋啓介は、本作には登場しません。これらの変更により、限られた上映時間内に物語を収めるための工夫が凝らされています。

公開と日本版の特徴

2005年6月に香港などで先行公開された後、日本では同年9月17日から全国の劇場で公開されました（配給：ギャガ）。日本での劇場上映は、主要キャストに日本の声優陣を起用した日本語吹き替え版が大多数を占め、主題歌も日本語版（AAAの「BLOOD on FIRE」、minkの「beautiful」）に差し替えられていました。オリジナル版の広東語音声にオリジナル主題歌（ジェイ・チョウの楽曲）を使用した上映は、ごく一部の劇場に限定されていました。

主要キャスト

藤原 拓海: 演 - ジェイ・チョウ（周杰倫）、声 - 野島健児
藤原 文太: 演 - アンソニー・ウォン（黄秋生）、声 - 磯部勉
茂木 なつき: 演 - 鈴木杏
高橋 涼介: 演 - エディソン・チャン（陳冠希）、声 - 竹若拓磨
中里 毅: 演 - ショーン・ユー（余文楽）、声 - 川島得愛
立花 樹: 演 - チャップマン・トウ（杜汶澤）、声 - 山口勝平
立花 祐一: 演 - ケニー・ビー（鍾鎮濤）、声 - 金尾哲夫
須藤 京一: 演 - ジョーダン・チャン（陳小春）、声 - 咲野俊介
岩城 清次: 演 - リュウ・ケンホン（劉畊宏）、声 - 伊藤健太郎
健二: 演 - 阿部力
美也: 演 - 田中千絵
池谷 浩一郎: 演 - 植木紀世彦

主なスタッフ

監督: アンドリュー・ラウ（劉偉強）、アラン・マック（麥兆輝）
脚本: フェリックス・チョン（莊文強）
音楽: コンフォート・チャン（陳光榮）
カースタントコーディネイター: ジョセフ・チー（香港）、高橋勝大（日本）
制作担当: 彭立威（香港）、佐々木享（日本）

受賞歴

本作は国内外で高く評価され、ジェイ・チョウとアンソニー・ウォンは、第25回香港電影金像奨および第42回金馬奨において、それぞれ最優秀新人賞と最優秀助演男優賞を受賞しています。

テーマソング

オリジナル版:
テーマソング「Drifting/飄移」歌：ジェイ・チョウ
挿入歌「All The Way North/一路向北」歌：ジェイ・チョウ
日本語吹き替え版:
テーマソング「BLOOD on FIRE」歌：AAA
* 挿入歌「beautiful」歌：mink

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