顕本寺 (桑名市)

顕本寺（けんぽんじ）

顕本寺は三重県桑名市に所在する日蓮宗の寺院で、山号は自栄山とされています。この寺院は、歴史的にも興味深い背景を持ち、多くの文化財が残っています。特に、檀家には桑名藩士が多く、その関連の墓が多く現存しています。中でも、吉村又右衛門宣充と水谷九左衛門光勝の墓は桑名市によって文化財に指定されています。

歴史

顕本寺の創建についての記録は不明ですが、元々は天台宗の寺院で「大泉寺」と呼ばれ、桑名城三ノ丸に位置していました。その後、藩主本多忠勝の都市計画により、現在の萱町に移転しました。

永正6年（1509年）、身延山久遠寺の第12世法主である円教院日意がこの寺で布教を行い、住職の実成が弟子となりました。これを契機に寺名を顕本寺に改称し、日意を中興第1世、実成は日相として第2世となりました。この時、塔頭には大泉院を含む19院が存在しましたが、次第に衰退し、塔頭は大泉院のみとなりました。

江戸時代にはいり、特に洪水による被害を受け、仏像や仏具が流失しましたが、後に大鳥居村で仏像が発見され、日透を第14世住職に迎えて再興されました。その後、藩士の久松忠義が境内に土地を寄付し、久松氏一族が堂宇を建立、文化面でも寄与しました。

1820年には火災もありましたが、1835年には本堂が再建されるなどし、しっかりとした基盤を築いていきます。しかし、1945年に太平洋戦争中の空襲で再び焼失し、以降再建され現在に至っています。このようにして顕本寺は、歴史においてさまざまな変遷を経ながら地域に根付いていきました。

境内

寺院の境内には本堂があり、さまざまな文化財が存在します。特に注目すべきは、昭和9年に建立された日蓮上人の銅像で、これは皇紀2600年を記念して作られました。原型は岡徳太郎が手掛け、鋳造は愛知県で行われました。

また、境内には著名な儒者や藩士の墓も多く点在しています。例えば、井上峨山景文や水谷九左衛門光勝など、地域の知識人や武士たちが眠る場所でもあります。これらの墓は、歴史を語る貴重な文化財として多くの人々に親しまれています。

文化財

顕本寺には市指定の文化財が多く残されており、特に水谷九左衛門光勝の墓は3基の五輪塔で構成されています。この墓は、光勝自身とその妻の墓を含み、庫裏の裏手に位置しています。さらに、吉村又右衛門宣充の墓も歴史的に重要な存在であり、当時の信仰を今に伝えています。

顕本寺は、このように豊かな文化遺産をもち、地域の人々にとって重要な精神的支柱であり続けています。訪れる人々は、この地に根付く歴史や文化の奥深さを感じることができるでしょう。

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