願いの詩/太陽

コブクロ5枚目のシングル『願いの詩/太陽』：高校野球と青春の記憶

2002年7月10日、コブクロの5枚目のシングル『願いの詩/太陽』がワーナーミュージック・ジャパンよりリリースされました。このシングルは、コブクロの代表曲の一つとして長く愛され続け、彼らのキャリアにおいて重要な位置を占める作品となっています。

表題曲の「願いの詩」は、朝日放送系列で毎年夏に放送される『全国高校野球選手権大会中継』の2002年度オープニングテーマとして起用されました。力強いメロディーと、高校球児たちの熱い想いを反映した歌詞は、多くの視聴者の心を捉え、コブクロの名を全国に知らしめるきっかけとなりました。前年度は先輩フォークデュオである19の楽曲がテーマソングに選ばれており、「願いの詩」はそのバトンを受け継いだ形となりました。

カップリング曲である「太陽」は、コブクロがインディーズ時代に演奏していた楽曲です。小渕健太郎氏によると、当時バラードが多かった彼らの楽曲群の中で異色のアップテンポな曲であり、転勤族の娘への片思いをテーマにした、青春の甘酸っぱさと切なさが共存する一曲です。演奏終了後の小渕氏の「転校しちゃった…」という呟きと、黒田俊介氏の笑い声は、楽曲の世界観をより一層リアルに感じさせてくれます。

もう一つのカップリング曲「ゆらゆら」は、コブクロの楽曲の中で最も短い演奏時間（2分27秒）を誇る、アルバム未収録の楽曲です。短いながらも印象的なメロディーと歌詞は、多くのファンを魅了し続けています。

さらに、このシングルは当初CCCD仕様で発売されましたが、ワーナーミュージック・ジャパンのCCCD生産終了に伴い、2005年8月23日に通常仕様で再発売されています。コブクロの作品でCCCD仕様だったのはこのシングルのみという点も、コレクターにとっては貴重なポイントと言えるでしょう。

『願いの詩/太陽』は、多くのアルバムに収録され、ライブでも度々演奏されている人気曲です。収録アルバムには『grapefruits』『ALL SINGLES BEST』『ALL TIME BEST 1998-2018』『Seasons Selection〜Summer〜』『ALL SEASONS BEST』などがあり、幅広い世代のリスナーに支持されていることが伺えます。「願いの詩」と「太陽」は、数々のライブ映像作品にも収録されており、そのパフォーマンスは、ライブ会場の熱気をそのまま伝えてくれます。「ゆらゆら」はアルバムやライブ映像作品には収録されていませんが、ファンにとっては特別な楽曲として記憶されていることでしょう。

『願いの詩/太陽』は、夏の暑さや青春の熱さを想起させる、コブクロを代表するシングルです。高校野球という国民的なイベントと結びついた「願いの詩」と、普遍的な青春の片思いを描いた「太陽」、そして短いながらも印象的な「ゆらゆら」という三つの楽曲は、リスナーの心に深く刻まれる、忘れがたい作品となっています。発売当時のテレビCMにテリー伊藤氏が出演していたことも、当時を知るファンにとっては懐かしい思い出でしょう。このシングルは、コブクロの音楽史において、重要な転換期を象徴する作品と言えるのではないでしょうか。

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