類聚雑要抄

類聚雑要抄（るいじゅうぞうようしょう）

「類聚雑要抄」は、平安時代後期における摂関家の室礼や調度について詳細に記された古文書です。この文書は、当時の寝殿造の実情を知る上で非常に重要な資料とされています。編纂者は明らかではありませんが、その内容から見る限り、摂関家の家司である藤原親隆が久安2年（1146年）頃に作成したと考えられています。文書は四巻から構成され、それぞれに多様な情報が記録されています。

各巻の内容

一巻

一巻には、儀式や饗宴時の献立や宴席の配置が記されています。特に、永久3年（1115年）の正月大饗の席の配置図があり、それに加えて保延2年（1136年）12月9日の「内大臣殿庇大饗の差図東三条殿」といった具体的な事例も示されています。これにより、当時の社会的な行事の進行や、その場の雰囲気を想像する手助けとなります。

二巻

二巻では、家具や調度品に関する記録がまとめられています。特に重要なのは、永久3年（1115年）7月21日に行われた藤原忠実の東三条殿への移住に関する室礼です。この文書には儀式のスペースでない部分の詳細も含まれており、貴族の日記には通常残されないような情報が得られます。また、障子帳の詳細な寸法や材質、製作費用についても言及されており、当時の工芸技術や社会的地位を知る手掛かりとなります。

三巻

三巻は、永久3年（1115年）に行われた内大臣藤原忠通の五節舞姫進上に関する雑事が記載されています。この巻の後半には、藤原忠長の五節舞姫進上の儀式に関連する詳細も含まれ、装束や調度品についての記述が見られます。これにより、当時の舞楽や社交の様子を知ることができ、平安時代の文化的背景を理解するのに役立ちます。

四巻

四巻では、寝殿母屋の調度品の目録と新たな資料が中心となっています。この巻においても、調度品の図示や寸法、さらには製作に必要な材料や費用に関する詳細な情報が掲載されています。

出典と参考文献

• - 「類聚雑要抄」『群書類従 第26輯』続群書類従完成会、1929年。
• - 川本重雄・小泉和子 編『類聚雑要抄指図巻』中央公論美術出版、1998年。
• - 小泉和子編『図説日本インテリアの歴史』河出書房新社、2015年。

このように、「類聚雑要抄」は平安時代における文化や社会の一端を伝える貴重な文献であり、古代日本の生活様式や美意識を理解する手助けとなる重要な資料です。

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