顧維鈞

顧維鈞 (Wellington Koo) の生涯と業績

顧維鈞（こ いきん、1888年1月29日 - 1985年11月14日）は、中華民国の外交官および政治家として、特に国際舞台での中国の立場を強化するために尽力した人物です。彼の名前は西洋ではWellington Kooとして知られ、多くの国際会議や重要な外交任務に従事しました。彼の生涯は、外交の重要な場面での活躍に彩られています。

生い立ち

顧は江蘇省嘉定県の郷紳出身の家庭に生まれました。彼の祖父は官職にありましたが、太平天国の乱により命を落としました。父親は官営の汽船会社で職を得て、顧の幼少期は比較的安定したものでした。教育は早くから始まり、1899年には上海英華学院に入学し、英語を学びました。その後、いくつかの学校を経て、最終的にはコロンビア大学に留学することになります。

留学と学問

1905年、顧はアメリカのコロンビア大学に入学し、そこで多くの学位を取得しました。文学士を取得した後、政治学と国際法の修士号を取得し、最終的には国際法・外交の博士号を得ました。在学中は、留学生の機関紙の編集に貢献し、アメリカの国際法学会や政治学会にも関わりました。

外交官としてのキャリア

帰国後、顧は袁世凱の秘書として外交の道に踏み出しました。彼は国務院秘書や外交部参事などを歴任し、1915年からは駐メキシコ公使として海外での経験を積みました。1919年にはパリ講和会議の全権代表として出席し、中国の不平等条約撤廃を強く求めました。さらに、彼はその後も駐英公使や外交総長として中国の国際的地位を高めるために努力しました。

政治的背景と外交総長

彼のキャリアは常に中国の政治状況と密接に関連していました。北洋政府の外交総長を経た後、顧は国民政府に参加し、外交部長に任命されます。彼は日本の満洲国の成立への違法性を訴えるなど、国際問題に真剣に取り組みました。また、駐フランスおよび駐英国の大使としても活動し、中国が国際連合の創設に貢献できるよう尽力しました。

私生活

顧維鈞は4度の結婚を経験しました。最初の妻とは早くに別れ、2番目の妻とは短命の間に1男1女をもうけました。その後、結婚した黄恵蘭とは30年間連れ添いましたが、最終的には派手な生活が原因で離婚します。最後の妻は国連職員であり、顧との間に子供はいませんが彼女の連れ子を受け入れました。

晩年と著作

顧は1970年代に引退し、健康な生活を送りましたが、1985年に入浴中に倒れ亡くなりました。彼の業績は今なお多くの人に影響を与えています。また、顧は著作も行い、彼の回想録や中国における外国人の地位についてなどの著書も残しています。彼の生涯は、困難な時代にあっても外交を通じて国を支え、国際社会での中国の立場を強化するために尽力した、まさにその象徴的な存在であったと言えるでしょう。

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