風の軌跡

アルバム『風の軌跡』の概要

『風の軌跡』（かぜのきせき）は、著名なシンガーソングライターであるさだまさしによる39枚目のオリジナルアルバムで、2015年7月8日にリリースされました。この作品は、グレープ時代を含む通算43枚目のアルバムとしても位置づけられています。前作『第二楽章』から1年ぶりのリリースとなりました。

制作背景

さだまさしは、自身の多忙なスケジュールが影響し、本作ではじっくりコンセプトに沿った楽曲を創作する時間が取れなかったことを語っています。彼は、数多くのタイアップ依頼を受ける中で、未発表曲の中から選び、新しい楽曲を加えてアルバムを完成させたと述べています。その過程では、過去の作品やタイアップ曲をリバランスし、聴き手にとって魅力的な一枚に仕上げることを心がけたとのことです。

収録曲の紹介

本アルバムには多彩な楽曲が収録されています。まず、1曲目の「ふるさとの風」は、2013年に開催された岩手芸術祭に合わせて作られたオリジナル曲です。この曲は、大学生の工藤玲音が作詞し、さだが補作詞とメロディを担当しました。元々は14分の長尺バージョンでしたが、本作に向けて6分44秒に短縮され、アルバムに収めることができました。

次に「みらいへ」は、ジャパネットたかたのCMソングとして起用された楽曲で、さだが審査員を務めたコンテストとの関連があります。また、「ラストレター」は、週刊朝日で連載された同名の小説に基づく楽曲です。

「青空背負って」は映画『案山子とラケット ～亜季と珠子の夏休み～』の主題歌であり、公式応援ソングとしても広く知られています。

「梁山泊」は、高校時代のさだが制作した曲で、自伝のドラマ化に際してNHKに提案された経緯があります。曲名は中国の著名な物語『水滸伝』に由来し、さだは曲の中で70年代の若者の葛藤と理想を表現しています。さらに「問題作～意見には個人差があります～」は、NHKの番組テーマソングとしても採用されました。

「逍遙歌 ～そぞろ歩けば～」は、作曲者の加山雄三から許可を得て収録した楽曲で、以前はテレビ番組のテーマソングとしても使用されていました。演奏者の意向に応じて選ばれた曲が並び、「風の宮」は伊勢神宮の遷宮をテーマにした神聖な作品です。

「夢見る人」はTBS系ドラマの主題歌として起用され、最終的には映画『風に立つライオン』の主題歌でもあります。

作詞・作曲・編曲について

すべての曲がさだまさしによる作詞・作曲であり、編曲は主に渡辺俊幸が手がけています。「ふるさとの風」については工藤玲音が作詞を担当し、「逍遙歌」は弾厚作が作曲をしています。また、「風の宮」の歌詞には西行の詩が引用されており、アルバムに独特の深みを与えています。

このように、『風の軌跡』は豊富なエピソードと多様なスタイルを持つ楽曲が揃った傑作であり、さだまさしの音楽的旅路を感じさせる一枚となっています。

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