風の電話 (映画)

映画『風の電話』の概要

『風の電話』は2020年1月24日公開の日本映画で、岩手県大槌町の電話ボックス「風の電話」をテーマにした感動的な作品です。この映画は、第70回ベルリン国際映画祭において国際審査員特別賞を受賞し、その評価を受けています。

あらすじ

物語の中心には、17歳の高校生ハルがいます。ハルは9歳のときに震災に見舞われ、両親と弟を失いました。現在、広島県呉で叔母の広子と2人三脚の生活を送っています。広子はハルを故郷の大槌へ連れて行こうとしますが、ハルはその誘いを受け入れられずにいました。

物語は、広子が急病で入院することから大きく動き出します。広子の入院に絶望したハルは、立入禁止の山道へ入って泣き叫ぶ場面に出くわします。そこで出会った公平がハルを助け、彼女は公平の家で夕食を共にします。

公平は、認知症の母親を介護しながら、被災地で生活しています。彼自身も多くの悲しみを抱え、妹を失った過去があります。その夜、公平の母親はハルを妹だと勘違いし、原爆の話をする姿に、ハルに過去が思い起こされます。公平はハルを最寄りの駅に送り、ハルはその後、家とは逆方向の電車に飛び乗ります。

次にハルは、ヒッチハイクをし、妊婦の友香とその弟に拾われます。友香は一人で子供を産む決心をしており、その決意をハルに語ります。彼らは途中で食堂に寄り、ハルに食事を提供し、友香が胎動を感じさせる感動的な場面も描かれています。別れ際、弟はハルに五千円を渡し、再会を約束します。

旅のクライマックス

ハルはその後、道の駅で数人の青年に絡まれ、危機的な状況に陥りますが、福島出身の森尾に救われ、彼と共に埼玉へ向かいます。森尾はトルコ料理店でメメットという男を探しており、ハルは彼の冒険に巻き込まれていきます。彼らはメメットの妻子と交流し、トルコ料理を楽しむシーンも印象的です。

福島に戻り、森尾の友人今田の家に泊まります。今田は、震災の影響で避難した子供たちが受ける差別について語り、ハルは思いを馳せます。森尾は自分が生き残った背景や、家族の記憶について話し、心に響くシーンが展開されます。

風の電話へ

大槌に到着したハルは、友人の母親と再会し、自宅跡に辿り着きます。そこでは何も感じない空虚感に襲われます。彼女の前に現れた少年は、交通事故で父を失った過去を語り、風の電話を訪れようとしていました。そこから二人は、死者と交信する願いを込めて風の電話に向かいます。

電話ボックスの中でハルは、今までの旅と自分が生きていることを語ります。自分の心の緊張や希望を表現することで、彼女の成長が描かれる感動的なラストシーンとなっています。『風の電話』は、家族や死、再生といったテーマを通じて、観る者に深い感動を与える作品です。

まとめ

『風の電話』は、人間の営みや震災による悲劇を背景に持つ作品であり、主人公ハルの成長を通じて、絆や希望の大切さを描いた感動作です。観客は、登場人物の思いを共有し、彼らの旅を共にすることで、多くの気持ちに触れることができるでしょう。

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