風俗案内所規制条例

風俗案内所規制条例：青少年保護と都市環境の調和を目指して

風俗案内所規制条例は、各地方自治体が独自に制定する条例で、性風俗営業の案内所に関する規制を定めています。その目的は、青少年の健全な育成を阻害する行為から保護すること、そして都市部の繁華街の秩序と安全を維持することにあります。

条例の主な内容

この条例では、風俗案内所の営業に関して、以下の事項を規制しています。

届出義務: 営業を行うためには、所轄の公安委員会への届け出が義務付けられています。届け出には、営業場所、営業内容、従業員に関する情報などが含まれます。
営業時間制限: 営業できる時間帯が制限されています。深夜営業などが禁止されるケースが一般的です。
案内表示: 案内所の表示方法や内容に制限が設けられています。青少年に誤解を与えるような表示は禁止されます。
従業員年齢: 従業員の年齢制限が設けられ、未成年者の雇用が禁止されています。
立地制限: 特に、学校や病院などの教育・医療施設周辺では、風俗案内所の設置が厳しく制限されています。具体的な距離制限は自治体によって異なりますが、一定の範囲内での営業が禁止されることが多くあります。例えば、京都府ではこれらの施設から200メートル以内での営業を全面禁止しています。

条例制定の経緯と訴訟

風俗案内所規制条例は、大阪府が2005年10月に初めて制定し、2006年2月に施行されました。その後、他の自治体でも同様の条例が制定されています。

しかし、これらの条例、特に立地制限については、憲法が保障する「営業の自由」との関係で、多くの議論や訴訟を生んでいます。特に、京都府の条例における200メートルという距離制限は、厳しすぎるとの批判がありました。

2011年には、京都府の条例に基づき、学校から200メートル以内という場所に風俗案内所を経営していた男性が逮捕され、その後起訴猶予となりました。この男性は、条例が「営業の自由」を侵害するとして京都地裁に提訴しました。

2014年2月、京都地裁は、条例の距離制限が「合理的裁量を逸脱している」として違憲判決を下しました。しかし、大阪高裁はこれを覆し、2015年2月に原告の訴えを棄却する判決を出し、その後、最高裁で確定しました。この判決は、自治体の青少年保護のための規制と、個人の営業の自由とのバランスを巡る重要な判断となりました。

今後の課題

風俗案内所規制条例は、青少年の保護と社会の健全化という重要な目的を有していますが、同時に個人の権利との調和も重要な課題です。今後、各地方自治体においては、条例の運用と、必要に応じた見直しを検討していく必要があるでしょう。また、条例制定にあたっては、関係団体や住民との十分な協議、そして裁判例を踏まえた慎重な検討が不可欠です。

関連事項

性風俗関連特殊営業
* 青少年保護育成条例

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