風神神社

風神神社

風神神社（かざかみじんじゃ・かぜかみじんじゃ）は、岐阜県中津川市阿木に鎮座する神社です。祭神は志那都比古神（しなつひこのかみ）と志那都比売神（しなつひめのかみ）で、風の神として信仰を集めています。

歴史

創建は不明ですが、平安時代に奈良県の龍田大社から分霊を勧請したと伝えられています。御神体は、大きな岩の上に祀られており、自然崇拝の名残を留めています。

最古の棟札には、元和4年（1618年）に再建されたと記されており、江戸時代初期には既に信仰を集めていたことが伺えます。また、江戸時代の地誌には、「阿木川をさかのぼること四粁、峡谷に巌窟あり、ここより飄風生ず奇勝なり。巌上に一社祠を建つ風神と称す」とあり、風穴から吹き出す風が神聖視されていたことがわかります。

近世には、長楽寺が風神神社の別当寺として祭典を執り行っていました。「阿木風神宮祭礼之図」には、長楽寺が広壮に描かれ、風神は奥の院として位置づけられています。しかし、明治時代の神仏分離令により長楽寺と分離し、現在の風神神社となりました。

例大祭

風神神社の例大祭は、毎年8月27日から6日間行われます。8月30日の前夜祭を経て、31日には大祭が執り行われ、風の神を鎮め、五穀豊穣と人々の平安を祈願します。

特に注目されるのは、本殿の背後にある風穴です。普段は閉じられていますが、大祭の時のみ開かれ、そこから吹き出す風によって台風の到来を予想するという神事が行われます。この風穴は、風神信仰の根源であり、古くから人々の畏敬の念を集めてきました。

また、風神神社は、かつて女人禁制であったことでも知られています。女性が近づくと天候が荒れるという言い伝えがあり、近年までこの禁則は厳重に守られていました。特に例祭時には見張りが置かれていたほどです。しかし、近年では女性の参拝も認められるようになり、参拝者の層は広がっています。

昭和34年（1959年）の伊勢湾[[台風]]では、東海地方に甚大な被害が出ましたが、風神神社に参拝した人々の被害が少なかったという評判が広まり、参拝者が増加しました。これは、風の神の加護を信じる人々の信仰心をより一層深める出来事となりました。

風神神社は、古くからの自然信仰と人々の暮らしが結びついた貴重な神社です。風の神を祀る神社として、地域の人々の信仰を集め、現在も大切に守られています。

参考文献

『中津川市史　中巻Ⅱ』　第五編　近世(二) 第八章　寺社　第二節　寺院　ニ　近世の寺院　風神神社　p1636～p1637 1988年

外部リンク

岐阜県神社庁　風神神社
風神神社 - 安岐郷誌

関連項目

長楽寺 (中津川市))

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