長楽寺 (中津川市)

長楽寺

長楽寺は、岐阜県中津川市阿木に位置する天台宗の寺院です。山号を大通山、院号を普門院と称し、恵那三十三観音霊場の第十三番札所となっています。本尊は、慈悲深いお姿で知られる十一面観音菩薩です。

歴史

長楽寺の創建は、平安時代の弘仁年間（810～823年）に遡ると伝えられています。開山は、桜堂薬師を開いたとされる三諦上人覚祐です。寺に伝わる古文書には、本尊の十一面観音菩薩は、名僧行基の作であると記されています。かつては、梅本坊、一輪坊など12もの坊院を有する有力な寺院として栄華を誇りました。

しかし、天正2年（1574年）には、武田勝頼の兵火により、伽藍は焼失してしまいました。その際、寺の梵鐘は武田勢によって持ち去られ、現在に至るまで鐘のない寺となっています。また、伝説によれば、焼失の際に本尊の十一面観音菩薩は川に投げ込まれたものの、自ら川を遡って難を逃れたと伝えられています。

慶長2年（1597年）には、梅本坊の住職であった真海によって再興され、現在の場所に移築されました。明治時代には、神仏分離令の影響で一時廃寺となりましたが、昭和17年（1932年）に宗教団体法制定を機に復興を果たし、現在に至っています。

境内

長楽寺の境内は、かつて12もの坊院が存在したにしては狭く、その点について「巌邑府誌」には、「長楽寺の旧跡は萬嶽寺の境内であろう」との記述があります。

境内には、鎌倉時代の土師器や室町時代の十一面観音像などの貴重な文化財が所蔵されています。特に本尊の十一面観音菩薩立像は、寄木造りで、行基の作と伝えられ、中津川市の文化財に指定されています。また、三十三所観世音菩薩像、不動明王像、仁王像など、数多くの仏像も安置されています。

さらに、境内には樹齢800年を超える大イチョウがあり、その巨大な姿は圧巻です。このイチョウは、岐阜県の天然記念物に指定されています。

祭礼

毎年8月9日には、九万九千日の祭礼が行われ、多くの参拝者で賑わいます。

文化財

本尊　十一面観音菩薩立像:　寄木造、行基作と伝わる。中津川市文化財指定
土師器:　奈良時代前期のもの。中津川市文化財指定
* イチョウ:　樹齢800年超。岐阜県天然記念物指定

その他

長楽寺は、歴史と文化に彩られた静かで美しい寺院です。訪れる人々に安らぎを与え、心豊かなひとときを過ごせる場所として、今も大切にされています。

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