風見鶏 (さだまさしのアルバム)

『風見鶏』（かざみどり）

『風見鶏』は日本のシンガーソングライターさだまさしが1977年7月に発表した2枚目のソロオリジナルアルバムです。この作品はシングル「雨やどり」の成功を受けてリリースされ、その結果、50万枚を超える大ヒットを記録しました。アルバムのアレンジャーには、サイモン＆ガーファンクルの「明日に架ける橋」をアレンジしたことで有名なジミー・ハスケルが参加し、作品のクオリティを一層引き上げました。また、アルバムのジャケットには味戸ケイコによる美しいイラストが使用されています。

アルバムの収録曲

このアルバムはA面とB面に分かれています。A面には以下の曲が収録されています。

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この曲は空港という喧騒の中で別れの孤独を抱える男性の心情を描いています。「この歌には当初、ジェット機の音で幕を引く予定だったが、ジミー・ハスケルの弦楽器のアレンジが追加され、より効果的になった」というエピソードもあります。さだはこの曲を皮切りに、空港での別れをテーマにした楽曲をいくつか制作しています。

つゆのあとさき

梅雨の季節を舞台に、別れの際に誠意を示す男性の心情を歌った曲です。歌詞に「今日は君の卒業式」とあることから、別れを卒業に例えて表現している点が興味深いです。曲名は永井荷風の小説に由来していますが、歌詞との直接の関連はありません。

飛梅

この曲は太宰府天満宮の伝説をモチーフにした作品であり、さだが得意とする日本の伝説を扱った最初の楽曲です。さだはこの曲を通じて太宰府天満宮の宮司一家と親しくなりました。

きみのふるさと

約10年にわたりコンサートでオープニング曲として使用され続けたこの楽曲は、恋人の故郷への旅路と希望を描いています。さだのルーツとも縁のある景色が描かれており、彼の個人的な背景も垣間見えます。

思い出はゆりかご

この曲は結婚を祝う歌として渡辺俊幸に捧げられましたが、内容は別れた恋人を思い出すものです。

B面には以下の曲が収められています。

セロ弾きのゴーシュ

森山良子に提供されたこの曲は、サン＝サーンスの組曲「動物の謝肉祭」のフレーズを使用しています。タイトルは宮沢賢治の作品に由来しており、さだは賢治の実弟に許可を求めたことから、非常に丁寧な対応が伺えます。

もうひとつの雨やどり

本作の中で「雨やどり」の別バージョンであり、さだはこの曲で自身の思いを表現しています。

吸殻の風景

再会した恋人の心情を灰皿の中のタバコの吸い殻にたとえた楽曲です。非常に独特な比喩表現が印象的です。

桃花源

中国の曲「我家在那裡」に基づくこの曲は、理想郷と故郷への思いを感じさせます。後にシングルカットされた際にその作曲者もはっきりしました。

晩鐘

日本の美意識をもとにしたこの曲では、恋人との別れが描かれています。さだはこの歌を特定の季節に歌うことにこだわりを持っています。

このアルバムにはさだまさしの才能が色濃く反映されています。後に再発売された際にはボーナストラックとして「雨やどり」が追加されており、これもまた注目に値します。

参加ミュージシャン

アルバムに関与したミュージシャンたちの名前も多数登場し、それぞれのパートで作品に深みを与えています。リード・ボーカルはもちろんさだまさしが担当し、その演奏にも彼の個性的な魅力が存分に表れています。

『風見鶏』は、さだまさしの音楽的な成長を遂げた一枚であり、日本の音楽史においても重要な位置づけを持つアルバムです。

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