飛行情報区

飛行情報区（FIR）とは、国際民間[[航空機関]]（ICAO）によって定められた、航空交通業務を各国で分担するための空域のことです。この空域は、領空と公海上空（公空）を含み、航空機の航行に必要な情報提供や、捜索救難活動が行われる範囲を指します。重要な点として、FIRは領空とは別の概念であり、その名称は国名ではなく、その空域の航空交通管理センターが置かれている地名が用いられます。世界中の空域は、ICAO非加盟国の領空と公海上空の一部を除き、FIRによって区分されています。

FIR内では、管制業務、飛行情報業務、そして緊急時の警急業務といった航空交通業務が実施されます。各地域を管轄する管制部の空域では、航空路監視レーダーを用いた航空交通業務が行われ、レーダーの範囲外となる洋上管制区では、航空交通管理センターがこれらの業務を担当します。

中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、モンゴルといった国々のFIRでは、メートル法を用いた航空交通管制が行われています。航空機の操縦室の計器には、ヤード・ポンド法とメートル法の表示を切り替えるスイッチが装備されています。

日本では、福岡FIR（RJJJ）が空域を担当しています。過去には、沖縄県（鹿児島県の奄美群島を含む）が那覇FIR（RORG）、それ以外の地域が東京FIR（RJTG）として分けられていましたが、2006年に統合され、福岡FIRとなりました。しかし、ICAO空港コードでは、旧東京FIR内の空港が「RJ」で始まるのに対し、旧那覇FIR内の空港は「RO」で始まるなど、過去の名残が残っています。また、VOLMET放送においても、旧東京FIR部分は東京VOLMETが、旧那覇FIR部分は香港VOLMETが担当しています。

FIRの範囲は、国土の面積や経済力ではなく、地理的な条件によって決定されます。例えば、石垣島と西表島の間や、小浜島東端付近を通る東経124度線以西は、台北FIR（RCAA）の管轄となっています。

1974年、日中国交正常化に伴い、日本[[航空]]が中国路線を開設した際、台湾当局からの台北FIR通過拒否により、台湾への乗り入れや通過ができず、東南アジアへの路線で遠回りを余儀なくされましたが、その後、この問題は解消されました。

日本に隣接するFIRは以下の通りです。

RKRR：仁川（インチョン）FIR
ZKKP：平壌（ピョンヤン）FIR
ZSHA：上海（シャンハイ）FIR
RCAA：台北（タイペイ）FIR
RPHI：マニラFIR
UHHH：ハバロフスクFIR
UHPP：ペトロパブロフスク・カムチャツキーFIR
PAZA：アンカレッジ洋上FIR
* KZAK：オークランド洋上FIR

これらのFIRは、航空機の安全な運航を支える重要な役割を担っています。

もう一度検索