飛野さんのバカ

『飛野さんのバカ』

概要

筋肉☆太郎によって描かれた日本のウェブ漫画作品です。コミックスマートが運営するウェブコミック配信プラットフォーム『GANMA!』にて、2017年10月30日より隔週月曜日に更新されながら連載されています。単行本は双葉社より刊行されており、読者に物理的な形で作品を届けています。

本作は、極めて真面目なクラス委員長と、学校をサボりがちなクールな不良生徒という対照的な二人の女性の関係性を中心に描く百合コメディです。日常の中での二人のやり取りや、それぞれが抱える感情の機微がユーモラスかつ繊細に描写されています。その人気と注目度から、第4回「次にくるマンガ大賞」のWebマンガ部門において、ノミネート作品50タイトルの一つに選ばれました。

ストーリー

物語は、真面目さが取り柄のクラス委員長である小熊小春の視点から始まります。彼女の隣の席はいつも空席。その席の主こそが、頻繁に授業を抜け出し、昇降口の奥など人目のつかない場所で時間を過ごしている不良生徒、飛野渚です。クラス委員長としての責任感から、そして不良生徒を放っておけないという思いから、小熊は飛野の元へ足を運びます。そこで目にしたのは、タバコを吸っている飛野の姿でした。

小熊は飛野に対し、タバコをやめて授業に出席するよう真剣に注意を試みます。しかし、飛野から返ってきたのは、小熊の予想をはるかに超える、突拍子もない要求でした。飛野はタバコをやめる代わりに、「お前が赤ちゃんのころ吸っていたもの」を吸わせてほしいと懇願してくるのです。この一見不可解で、やや過激とも取れる要求をきっかけに、真面目で融通の利きにくい小熊は、飛野の予測不能な言動や要求に次々と振り回されていくことになります。二人の間の奇妙で危うい駆け引き、そしてそこから生まれる関係性の変化が、本作の物語の核をなしています。

主な登場人物

小熊 小春（こぐま こはる）
本作の主人公の一人。非常に真面目で、周囲からも信頼される優等生です。「良い人そうだから」という理由でクラス委員長という役職を引き受けることになりました。学校をサボる飛野を放っておけず、彼女を正しい道へ導こうと奮闘しますが、毎回飛野の独特な要求や言葉の裏を読み間違え、結果的に翻弄されてしまいます。飛野のペースに巻き込まれながらも、委員長としての責任感や、飛野に対するある種の感情から、彼女と向き合い続けます。

飛野 渚（ひの なぎさ）
本作のもう一人の主人公。クールな雰囲気を纏った不良生徒で、授業に出ることは稀です。常に周囲とは一線を画した存在として描かれています。真面目な小熊が現れると、彼女をからかったり、少し過激で意地悪な要求をしたりして楽しんでいます。しかしその一方で、小熊に対して特別な感情、具体的にはやや惹かれているようなそぶりを見せることもあり、掴みどころのない複雑な内面を持つキャラクターです。小熊を翻弄することそのものを楽しんでいるようでもあります。

尾見 ちひろ（おみ ちひろ）
小熊小春の幼馴染です。子供の頃からの付き合いで、小熊のことを常に大切に思っており、何かと気にかけています。小熊が飛野との関係で悩んだり戸惑ったりする様子を見守る存在です。

作品の特色と評価

『飛野さんのバカ』は、「真面目な優等生」と「クールな不良」という王道かつ対照的なキャラクター設定を軸に、予測不能な展開と二人の間の微妙な感情の揺れ動きを描くことで読者を引きつけます。特に、飛野から小熊に向けられる、常識から少し外れた、それでいてどこか距離感を縮めようとするかのような要求が、物語のユニークな推進力となっています。小熊の真面目さと飛野の奔放さが織りなすコメディ要素と、二人の間に徐々に芽生える特別な関係性（百合要素）が巧みに組み合わされており、甘酸っぱさと危うさが同居する独特な雰囲気を生み出しています。そのストーリーテリングとキャラクターの魅力が評価され、「次にくるマンガ大賞」にノミネートされるなど、多くの読者から注目を集めました。

書誌情報

筋肉☆太郎 『飛野さんのバカ』
出版社：双葉社〈アクションコミックス〉
既刊：4巻（2021年4月12日現在）

第1巻：2019年3月12日発売、ISBN 978-4-575-85280-6
第2巻：2019年8月8日発売、ISBN 978-4-575-85341-4
第3巻：2020年4月10日発売、ISBN 978-4-575-85433-6
第4巻：2021年4月12日発売、ISBN 978-4-575-85566-1

関連情報

GANMA!公式サイト内 作品ページ

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