飛騨産業

飛騨産業株式会社

飛騨産業株式会社（ひださんぎょう）は、岐阜県高山市に本社を置く、日本の主要な木工家具メーカーの一つです。長年にわたり培われた高い技術力と品質により、国内家具業界において確固たるブランド力を確立しています。かつては「キツツキマーク」のトレードマークで広く親しまれていましたが、現在は「HIDA」のブランドロゴを用いています。

歴史と伝統

飛騨産業の起源は、飛騨地方に古くから伝わる伝統的な木工技術、特に「曲木家具」にあります。この地の豊かな森林資源と、職人たちの卓越した技術が融合し、独特の家具づくりが発展しました。会社は1920年（大正9年）に中央木工株式会社として設立され、この伝統技術を産業として展開することを志しました。その後、1923年（大正12年）に飛騨木工株式会社に商号を変更し、さらに1945年（昭和20年）には現在の飛騨産業株式会社へと名称を改め、事業を拡大してきました。

2009年（平成21年）には、北海道の伝統的な木工家具として知られる「北海道民芸家具」のブランドおよび製造工場をクラレインテリア株式会社から継承しました。これにより、飛騨の技術に加え、北海道の木工文化をも取り込み、日本の木工家具の多様な伝統を次世代に繋ぐ役割も担っています。

製品と事業展開

飛騨産業は、伝統的な木工技法を継承しながらも、現代の多様なニーズに応える製品開発に力を入れています。耐久性に優れ、使い込むほどに風合いが増す高品質な木製家具を中心に、ソファ、テーブル、椅子、収納家具など、幅広いラインナップを展開しています。代表的なシリーズには、「森のことば」のように木のありのままの姿を活かしたデザインや、「SEOTO」「CRESCENT」といった洗練されたデザインのシリーズがあります。

国内市場での展開に加え、海外市場への進出も積極的に行っています。アジア諸国や米国などへの輸出を通じて、メイド・イン・ジャパンの家具の品質とデザインを世界に発信しています。また、イタリアの著名な家具デザイナーであるエンツォ・マーリ氏とのコラボレーション製品を手がけるなど、国際的な視野を持った挑戦や、先鋭的な経営戦略も特徴の一つです。

ブランドアイデンティティの変化と現体制

長年親しまれてきたブランドイメージは、時代の変化とともに進化しています。2020年10月1日には、企業の顔であった「キツツキマーク」ロゴから、よりモダンで国際的な響きを持つ「HIDA」ロゴへの変更を行いました。この変更は、単なるデザインの刷新に留まらず、ブランド全体の再構築を図るものであり、全国の直営ショップやショールームの名称も「HIDA」に統一されました。

経営体制においては、2021年12月20日付けで代表取締役社長に岡田明子氏が就任し、新たなリーダーシップの下でさらなる事業の発展を目指しています。前社長の岡田贊三氏は会長に就き、引き続き会社を支えています。

飛騨産業の独自の取り組みや、厳しい経営環境の中で培われた革新的な改革は、メディアでも注目されています。例えば、テレビ東京の「日経スペシャル カンブリア宮殿」では、その事業戦略が特集されたことがあります（2017年11月30日放送）。

伝統を守りつつも革新を続ける飛騨産業は、日本の木工家具産業において重要な存在であり続けています。

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