食料自給率

食料自給率の概要

食料自給率（しょくりょうじきゅうりつ）は、国内で消費される食料のうち、どの程度が国内で生産されたものであるかを示す重要な指標です。しばしば単に「自給率」とも呼ばれ、この数値は国の食料安全保障や農業政策にとって非常に重要なロールを果たしています。食料自給率は総合食料自給率と品目別自給率という二つの主要な形態で計測されます。

自給率の種類

総合食料自給率

総合食料自給率は、特定の食料品目ではなく、全体としての食料を対象とした指標です。この中には、カロリーベースと生産額ベースの２種類があります。

• - カロリーベース総合食料自給率：この指標は、国民1人1日当たりの国産供給熱量を基に算出されます。計算式は以下の通りです。

カロリーベース総合食料自給率 ＝ (1人1日当たりの国産供給熱量) ÷ (1人1日当たりの供給熱量)

ここで、国産供給熱量は国内生産量や輸入量を基に算定されます。

• - 生産額ベース総合食料自給率：こちらは、国内生産額と国内消費額を基にしたもので、計算式は次のとおりです。

生産額ベース総合食料自給率 ＝ 国内生産額 ÷ 国内消費額

この指標からも、食料自給率の計算方法が異なることが分かります。

品目別自給率

品目別自給率は、小麦や米といった特定の食品に対して算出されます。この場合は国内生産量を国内消費仕向量で割ることで計算されます。

国際連合食糧[[農業機関]]（FAO）との関連

国際連合食糧[[農業機関]]（FAO）も食料自給率に関する異なる指標を設けています。具体的には、輸入依存率や自給率の計算方法を提供しており、国際的な食料供給のパターンを分析しています。

日本の食料自給率の実情

日本の食料自給率は低迷しており、特にカロリーベースでは37%（2022年度）、生産額ベースでは58%という数値です。日本は世界最大の食糧輸入国であり、2018年度には5兆6000億円もの額を輸入しています。特定の品目別では、米の自給率は98%と非常に高い一方で、小麦や大豆はそれぞれ約15%と大変低いのが現実です。

食料自給率が低下している一因として、小麦やトウモロコシのほとんどを輸入に頼っていることがあります。また、国土が狭く多くの農地が山間部に位置しているため、効率の良い農業が展開されづらいという背景もあります。

食料自給率の低下要因

食生活の変化や国内農業の対応力不足によって、自給率はさらに低下しています。特に洋食化や外食の増加が進む中、国内の生産体制が追いつかず、多くの国民が自給率の低さを感じています。また、飼料に対する自給率が5割を下回るため、畜産の自給率も大きな影響を受けています。

経済政策と食品廃棄物

日本では食料自給率を向上させるための厳しい政策が求められる中、一方で食品廃棄物の問題も看過できません。年々廃棄される食品の量は増加しており、食料自給率の評価にも影響を与えています。

食料安定供給に向けて

日本国民の食料安全保障を保つためには、食料自給率を向上させつつ、輸入先の多様化やエネルギー源の安定供給も同時に考慮する必要があります。アグリビジネスを強化し、持続可能な国内農業の仕組みを作り上げることが求められます。また、2024年には食料供給困難事態対策法が施行され、政府が農家に対して生産を求めることが可能になります。

結論

食料自給率の問題は、日本にとって根深い課題であり、国民の健康と安全に関わる重要なテーマです。効率的な農業の実施、持続可能な施策の導入、食品廃棄物の削減など、多方面からのアプローチが必要です。

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