飯塚くに

飯塚くに：日本舞踊家、坪内逍遥の養女としての生涯

飯塚くに（1900年2月10日 - 1994年10月27日）は、明治から平成にかけて活躍した日本舞踊家です。英文学者・坪内逍遥の養女としても知られています。夫は演劇研究家の飯塚友一郎。

生い立ちと坪内逍遥との出会い

飯塚くには、写真家・能笛家として知られた鹿嶋清兵衛と、元芸者である母・鹿嶋ゑつの間に生まれました。6歳の時に坪内逍遥の養女となります。当初、逍遥はくにを先に養子にしていた坪内士行の妻にと考えていましたが、士行がアメリカ留学から帰国後、アメリカ人女性との結婚を希望したため、その縁談は解消されました。

夫・飯塚友一郎との結婚

夫の飯塚友一郎は弁護士でありながら演劇研究に没頭し、後に日本大学芸術学部の事実上の創設者となりました。しかし、家庭を顧みない夫に、飯塚くには苦労が絶えなかったと言われています。息子は建築構造学の権威、横浜国立大学教授の飯塚五郎蔵です。また、邦楽家の桃山晴衣、女優の河内桃子は親戚にあたります。

家族の歴史

飯塚くにの両親については、長谷川時雨の『近代美人伝』や長谷川伸の『明治の女』『明治の男』に詳しく記述されています。また、森鷗外の小説『百物語』に登場する人物のモデルにもなっています。

回想録

晩年の坪内逍遥の様子を綴った回想録『父・逍遥の背中』（1994年、中央公論社）は、飯塚くにによって著されました。

参考文献

法月敏彦「忘れえぬ演劇研究者―飯塚友一郎―」『桜美林論考. 人文研究』第10巻、2019年3月

外部リンク

鹿嶋清兵衛（歴史が眠る多磨霊園）
* 鹿嶋ゑつ（歴史が眠る多磨霊園）

飯塚くには、激動の時代を生き抜き、日本舞踊家として、そして坪内逍遥の養女として、その名を歴史に刻みました。

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