飯山駅

JR東日本 飯山駅：北陸新幹線と飯山線の要衝、観光拠点としての発展

飯山駅は、長野県飯山市の中心部に位置する、東日本旅客鉄道（JR東日本）が運営する駅です。北陸新幹線と飯山線の2路線が接続する重要な交通拠点であり、周辺地域の発展に大きく貢献しています。

駅舎移設と北陸新幹線延伸による変貌

もともとは飯山線のみが乗り入れる駅でしたが、1982年には北陸新幹線の長野―富山間のルート選定において、飯山駅を経由する案が検討されました。しかし、コスト削減の観点から経由地が変更される可能性もあったものの、地元住民や国会議員の強い要望により、現在のルートが決定しました。そして、2015年3月14日、北陸新幹線の長野―金沢間の延伸開業に伴い、飯山駅も停車駅となりました。

駅舎は、新幹線開業と旧駅舎周辺の空間狭小化、長野県道97号飯山斑尾新井線のバイパス建設などを背景に、2014年11月9日に約300m移設されました。移設された新駅舎は、周辺環境との調和を重視した設計で、飯山の伝統工芸である和紙「内山紙」をイメージした外観が特徴です。

駅周辺の開発と観光

飯山駅は、野沢温泉スキー場や斑尾高原スキー場といった人気スキーリゾートへのアクセス拠点であるため、特に冬季には多くのスキー客が利用します。東京方面との利用が全体の9割を占め、土日祝日の利用者数は平日の3倍にも上ります。そのため、スキー場へのバスを待つ長蛇の列ができることも珍しくありません。

駅舎内には、コンビニエンスストアや飲食店などの商業施設に加え、観光案内所を備えた「飯山駅観光交流センター」も併設されています。このセンターは、飯山市をはじめとする周辺9市町村が共同で運営しており、観光客への情報提供や休憩スペースを提供しています。

駅舎周辺には、飯山市役所や飯山赤十字病院、市立飯山図書館などの公共施設や商業施設が集中しており、飯山市の中心市街地として賑わっています。駅舎の移設に合わせ、駅前広場も整備され、バス乗り場や駐車場、駐輪場などが整備され、利便性が向上しています。千曲川口、斑尾口、南口の3つの駅前広場があり、それぞれの広場にはバス路線やタクシー乗り場が設置されています。

駅の構造と機能

新駅舎は、新幹線ホーム（3階）と在来線ホーム（地上）が独立した構造となっています。新幹線ホームは相対式2面2線で、ホームドアが設置されています。在来線ホームは島式1面2線で、有効長87mとなっており、20m級車両4両編成に対応しています。新幹線と在来線は改札外乗換となっており、乗り換えには改札を出入りする必要があります。

バリアフリーにも配慮されており、エレベーターやエスカレーターが設置されています。また、多機能トイレも設置されています。在来線ホームでは唯一発車ベルが設置されているのが特徴です。

歴史

飯山駅の歴史は、1921年10月20日の飯山鉄道豊野―飯山間開通に始まります。その後、飯山鉄道の国有化、国鉄分割民営化を経て、現在に至ります。1982年には貨物取扱が廃止され、1984年には荷物扱いも廃止されています。

旧駅舎

旧駅舎は、移設前の約300ｍ地点にありました。地平式ホーム1面2線で、寺社風の装飾が施されていたのが特徴でした。ホーム上には「七福の鐘」が設置され、大晦日から元日にかけて鐘突きイベントも行われていました。旧駅舎は移設後に解体され、跡地は道路として整備されましたが、機関車の留置などに使用されていた交換施設は残されています。

発車メロディ

新幹線ホームでは、豊田村（現・中野市）出身の高野辰之が作詞した唱歌「ふるさと」が発車メロディとして使用されています。11番線では前半、12番線では後半がそれぞれ流れます。

利用状況

2023年度の1日平均乗車人員は約981人、新幹線の1日平均乗車人員は約617人と、多くの乗客が利用しています。近年は、新幹線開業による利用者増加と、周辺地域の観光開発が相乗効果を生み、駅の活性化に繋がっています。

まとめ

飯山駅は、北陸新幹線と飯山線の接続駅として、地域交通の要衝であり、周辺地域の観光拠点として重要な役割を担っています。駅舎の移設や新幹線延伸による近代化、周辺整備事業による利便性向上によって、今後も地域の活性化に貢献していくことが期待されます。

もう一度検索