飯森山公園

飯森山公園

山形県酒田市に広がる飯森山公園は、文化、運動、そして憩いの場を提供する総合公園として、地域住民や訪問者に親しまれています。園内には著名な写真家、土門拳の作品を展示する記念館をはじめ、スポーツ施設などが整備されており、多角的な利用が可能です。この記事では、公園全体の成り立ちや構成に加え、敷地内に立つ酒田市国体記念体育館や、季節の彩りを添えるあじさい園についても掘り下げて紹介します。

公園の歩みと構成

飯森山公園の整備は、1979年7月に酒田市が策定した定住圏構想における「文化公園（カルチャーパーク）」としての位置づけに基づき、面積14.6ヘクタールでの計画決定から始まりました。その後、1988年9月には計画が総合公園へと変更され、敷地面積も17.8ヘクタールに拡張されました。段階的な整備が進められ、1995年度には公園全体の工事が完了しています。

この広大な公園は、主に三つのゾーンに区分されています。一つ目は、土門拳記念館や人工湖、そして白鳥が訪れる拳湖（白鳥池）を中心とした文化施設ゾーン。二つ目は、公園の山頂部分やピクニック広場（冒険広場）が配置された遊戯施設ゾーン。そして三つ目は、酒田市国体記念体育館や多目的グラウンドを擁する運動施設ゾーンです。これらのゾーンが連携し、多様なニーズに応える空間が作り出されています。

近年、施設の維持管理に充てるための命名権導入が進められており、2024年10月1日からは、公園本体と多目的グラウンドの命名権を近隣の東北エプソン株式会社が取得しました。これにより、2027年9月30日までの3年間、年間150万円の契約に基づき、それぞれ「東北エプソン飯森山公園」「東北エプソン飯森山グラウンド」という愛称が使用されています。

酒田市国体記念体育館

公園内に位置する酒田市国体記念体育館は、1992年に山形県で開催された「べにばな国体」の競技会場として建設されました。設計にあたっては、公園の広大な景観と調和しつつ、建物の高さを抑えることが重視されました。これにより、スポーツ施設にふさわしい軽快なデザインが実現されています。また、隣接する土門拳記念館とは機能が異なるため、その建築表現も意図的に対比的なものとされています。

建築構造としては、観客席や諸室が収められた下部構造の上に、大小の張弦梁を連続させた屋根が架けられています。この大スパン架構によって、アリーナ全体を柱のない広々とした空間で覆っています。

この体育館も命名権の対象となり、2024年4月1日からは、大手石油開発企業であるINPEXが4年間の契約（年間150万円）で命名権を取得しました。これに伴い、施設の名称は「INPEX酒田アリーナ」に変更されています。現在は、女子バレーボールV.LEAGUEに所属するプレステージ・インターナショナルアランマーレのホームアリーナとしても利用されています。

彩りの空間：あじさい園

飯森山公園の魅力の一つに、美しいあじさい園があります。このあじさい園は、「酒田市振興計画」における、地域独自の緑豊かな公園づくりや「花の名所づくり」という方針に基づき整備が進められました。1983年からは、市民の協力も得ながら、あじさいの植栽が始められています。

あじさい園は、飯森山公園の中心的な存在である土門拳記念館と白鳥池を取り囲むように広がっており、その面積は約8000平方メートルに及びます。この広大な敷地には、122種類もの多様な品種のあじさいが、合計1万637株植えられています。例年6月下旬頃には、あじさいが見頃を迎える時期に合わせて、夜間のライトアップが実施され、幻想的な光景を楽しむことができます。

アクセスと周辺情報

飯森山公園へのアクセスは、JR酒田駅から車でおよそ15分程度です。公園の周辺には、酒田市美術館や出羽遊心館といった文化施設、東北公益文科大学、そして南洲神社などがあり、公園を訪れる際に合わせて立ち寄ることも可能です。

もう一度検索