飯田儀兵衛

飯田儀兵衛：高島屋の礎を築いた近江商人

飯田儀兵衛（いいだ ぎへい、生年不詳 - 嘉永2年11月4日（1849年12月18日））は、江戸時代後期に活躍した近江商人です。彼は、現在の滋賀県高島市今津町にあたる近江国高島郡南新保村で飯田彦兵衛の子として生まれました。

米穀商「高島屋」の創始

長じた儀兵衛は京都へ出て、烏丸松原上ル（現在の京都市下京区）に居を構え、出身地にちなんだ「高島屋」という屋号で米穀商を始めました。人々は彼を親しみを込めて「高島屋儀兵衛」と呼んだと言います。

婿養子との出会いと呉服商への転換

儀兵衛には娘の『秀』が一人おり、後継者問題に悩んでいました。そんな折、京三条大橋東入ル（現在の京都市東山区）にあった角田呉服店の奉公人である新七という若者の仕事ぶりに感銘を受けます。しかし、不幸なことに角田呉服店が倒産。そこで儀兵衛は、新七を娘婿に迎えたいと考えました。

当初、新七は呉服商として独立することを考えていたため、この申し出を断りました。しかし、儀兵衛は新七の才能に惚れ込んでおり、「しばらくは米屋を手伝ってもらうが、資金ができたら呉服屋を開けばよい。米屋は後継ぎがいないので閉める」と説得しました。その熱意に打たれた新七は、文政11年（1828年）に飯田家の婿養子となり、高島屋を継ぐことになったのです。

高島屋の発展と呉服商としての独立

新七は儀兵衛に給金を預け、儀兵衛はその資金を運用して増やしました。そして文政12年2月27日（1829年3月31日）、米屋高島屋の隣に家を構えさせ、天保元年12月10日（1831年1月23日）には、家の西側北より3軒目の泉屋利助の貸家にて、古着と木綿を扱う呉服商「高島屋」を開業させたのです。

この呉服商「高島屋」が、後に百貨店として発展していく髙島屋のルーツとなります。飯田儀兵衛は、自らの事業を拡大するだけでなく、有能な人材を見抜き、その才能を活かすことで、高島屋の礎を築いた人物として、その名を歴史に刻んでいます。

飯田儀兵衛の先見の明と、新七の努力が、今日の髙島屋へと繋がっていると言えるでしょう。

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