飯田善国

飯田 善國について

飯田善國（いいだよしくに、1923年7月10日 - 2006年4月19日）は、日本の彫刻家、現代美術家、また詩人として知られています。彼の作品は、素材や表現方法において非常に多様であり、国内外で高く評価されています。特に、彼の彫刻は独特の視点からの自然との対話や、詩的な要素が織り交ぜられています。

生い立ちと経歴

飯田は栃木県足利市で生まれ、旧制館林中学を卒業した後、慶應義塾大学に入学。しかし、大学在学中に徴兵され中国での戦争を経験します。戦後に帰国した彼は慶應義塾大学に復学し、さらに画家を志すため東京藝術大学に進学。梅原龍三郎などの指導を受け、1953年に卒業しました。

卒業後、池田龍雄らとともに制作者懇談会を結成し、戦争経験を通じて崩れた世界観を再構築し、独自のリアリズムを模索し始めます。1956年からローマに留学し、彫刻を学ぶ中で著名なアーティストたちから影響を受け、彫刻制作へとシフトします。特に、金属や木を使った作品が多く、欧州各地で展覧会に出展しました。彼はミニマルアートやキネティックアートにも大きな関心を持ち、影響を受けました。

日本での活動

1960年代後半に日本に帰国後、飯田は抽象的な造形を追求しました。彼の作品は素材や技法が多様化し、木やブロンズ、ステンレス、さらにはロープの彩色などを使った作品が多くなります。特に、宇部市や神戸市での現代彫刻展で受賞した「HITO」シリーズが注目を集めました。これは、人体を抽象的に表現した作品です。また、公共空間に設置されるパブリックアートも手掛け、その評価はますます高まりました。

作品の特徴

飯田の作品は、特に鏡面ステンレスを用いた彫刻が知られています。この素材は周囲の風景を映し出し、自然の中で変化する要素を取り入れています。風によって動く作品は、訪れる人々に生命を感じさせると同時に、彼自身の内面の解放を象徴しています。代表作には、町田市の芹ヶ谷公園にある『彫刻噴水・シーソー』があります。また、室内作品には当初の木彫から進化し、色とりどりの紐が通された穴の開いた作品が多く見られ、色彩と詩が密接に結びついています。

詩との関係

彼は詩の制作にも力を入れており、1972年の詩画集『クロマトポイエマ（Chromatopoiema）』では、アルファベットの26文字を色分けし、詩と視覚を組み合わせた独自の表現方法を築き上げました。これにより、彼の彫刻や版画にも彩色と詩の要素が反映され、深いメッセージが具現化されています。

教育活動

1983年から1989年にかけて、法政大学の工学部建築学科で教授として後進の指導にも当たりました。彼の教育活動は、将来のアーティストたちへの重要な影響を与えています。

IIDA-KAN

飯田の作品を展示する美術館「IIDA-KAN」は、長野県安曇野市に位置し、彼の個人美術館として知られています。ここでは、1950年代の絵画作品や、彼の代表作『SCREEN-CANYON』が常設展示されており、一般に公開されています。入場は無料で、安曇野アートラインの一部を成しています。

まとめ

飯田善國は、彫刻や絵画、詩と多岐にわたる表現活動を通じて、独自の視点と感性を持ったアーティストでした。彼の作品は現在も多くの人々に影響を与え、近現代美術館などに所蔵されています。

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