飯田弘之

飯田弘之の経歴と業績

飯田弘之（いいだ ひろゆき）は、1962年1月17日に山形県西村山郡西川町に生まれた日本の将棋棋士および人工知能学者です。彼は将棋界において大内延介九段の門下で育ち、棋士番号は159です。2014年に現役を引退した彼の経歴は、将棋とAI研究の両分野での革新を象徴しています。

幼少期と将棋との出会い

飯田は4歳または5歳の頃に父親が将棋を指すのを観て将棋を覚えます。13歳の時、奨励会に入会するために上京し、本格的に将棋を学び始めました。この間、彼は上智大学理工学部数学科に入学し、柔道部にも所属。練習の後に将棋会館に足を運び、将棋を磨く日々を送っていました。1983年、4段に昇進しプロ棋士への道を整えます。山形出身の将棋棋士としては、1951年に引退した北楯修哉以来二人目となりました。

将棋棋士としての実績

1986年度には26勝12敗を記録、勝率は0.684を達成しました。1987年度には第18回新人王戦で準優勝し、決勝では森内俊之に敗れました。この期間に、彼は羽生善治との初対局でも勝利を収め、コンピュータとの関係に強い興味を持ち始めました。1988年からは東京農工大学でコンピュータ将棋の研究を行うことになります。

1992年にはオランダのリンブルグ大学に客員研究員として派遣され、将棋の普及に努めました。しかし、順位戦の休場規定により、彼は全局不戦敗となり、翌年からの実質的な棋士活動を休止することになりました。1994年のフリークラス宣言後も棋戦には参加し、一時的な活動を続けましたが、最終的には2014年に正式に現役を引退しました。

研究者としての道

将棋から引退した飯田は、東京農工大学で博士号を取得し、そこでの研究に励みます。新技術事業団の科学技術特別研究員としての期間を経て、静岡大学で専任講師や助教授として教育活動を行います。2005年からは北陸先端科学技術大学院大学の教授として多くの学生に知識を伝え、コンピュータ将棋「TACOS」の開発にも関わりました。

TACOSは、将棋界に新たな視点を提供し、一度は橋本崇載五段と対局を果たしましたが、敗北しました。2011年にはコンピュータ将棋協会からの貢献賞も受賞し、彼の影響力はさらに広がりました。

書籍や貢献

飯田は自身の研究成果を広めるため、いくつかの著書を執筆しています。「コンピュータチェス 世界チャンピオンへの挑戦」や「AIは予言する 人工知能がひらく驚異の世界」など、彼の知見は多くの人々に影響を与えています。

将棋と人工知能の両分野で数々の功績を残した飯田弘之。彼の努力は将棋界のみならず、広く科学技術の発展にも寄与しており、その業績は今なお多くの人に語り継がれています。

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