大内延介

大内 延介

大内 延介（おおうち のぶゆき、1941年10月2日 - 2017年6月23日）は、日本を代表する将棋棋士であり、特にその独自の振飛車穴熊戦法で名を馳せました。彼は土居市太郎名誉名人の門下生であり、棋士番号は86、東京出身の中央大学卒業生です。

棋士としての道のり

将棋にのめり込んだのは小学4年生のときでした。将棋道場で二枚落ちで3連敗を経験し、これが将棋との真剣な出会いとなります。小学6年生の際には、名産地として知られる山形県天童市へ1か月間の修行を行い、技術を磨きました。1954年には土居市太郎名誉名人の最後の弟子として入門し、1963年には四段に昇段、プロ入りを果たしました。

その後、大内は若手棋士として仲間たちと共に「花の昭和16年組」と称される時代を迎えます。彼は順位戦で注目を集め、第18期 C級2組・第19期 C級1組で連続昇級し、着実に地位を築いていきました。

大会とタイトル獲得

1967年には第8期王位戦で大山康晴への挑戦権を獲得し、名実ともにタイトル戦番勝負に初めて登場します。これは、六段ながら挑戦した棋士として当時初の快挙でしたが、残念ながら七番勝負では敗退してしまいます。

その後も彼は1972年度・第27期順位戦で初のA級在位を経験し、1974年度・第29期順位戦では7勝2敗という成績を収め、1975年に行われた第34期名人戦で中原誠の挑戦者となりました。この名人戦では互角の戦いを繰り広げたものの、最終的には優勢を逃して勝利を手にすることができませんでした。

1975年には第1期棋王戦で初めてのタイトルを獲得。名実ともに将棋界の中心選手となり、実績を重ねます。しかし、次の棋王戦では挑戦に3連敗し、タイトルを失冠してしまいました。

晩年と影響

晩年には、将棋連盟の渉外担当理事として活動し、国際将棋フォーラムの設立にも貢献しました。また、名人戦の持ち主としても知られ、数々の大盤解説会を通じて将棋の普及にも尽力しました。2010年には引退が決まり、その後も若手棋士への指導や普及活動は続けられました。彼の死去後も、大内の志を引き継ぐ形で活動は続きました。

人柄とエピソード

大内は洋服店の家庭に生まれながらも和服を好み、通常の対局でも頻繁に着用していました。将棋のルーツについても研究し、著書として「将棋の来た道」や「アジア勝負の旅」を残しました。また、彼は江戸っ子気質が強く、多くのエピソードで知られています。

例えば、第2期棋王戦の前、挑戦者である加藤一二三に対局の癖について注意したことも挙げられます。このように、厳格でありながらも人間味溢れる人物であり、彼の指導を受けた棋士たちはその影響を今でも受けていると語ります。

さらに、振飛車穴熊を戦法として定着させたことで「穴熊党総裁」とも称され、将棋の戦術にも新たな風を吹き込みました。2020年には升田幸三賞特別賞が贈られ、その功績が再評価されています。彼の棋士人生と普及活動は、将棋界に多くの良い影響を残しました。

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