飯野嘉則

飯野嘉則（いいの よしのり）は、1983年2月23日に東京都杉並区で生を受けた、日本の元自転車競技選手です。専門はロードレースでした。

アカデミックな背景を持ちながら、大学・大学院で高度な専門知識を深めつつ競技活動を続けた、自転車選手としては珍しい経歴の持ち主です。東京電機大学工学部で基礎を学び、その後、同大学大学院工学研究科の精密システム工学専攻に進み、修士課程を修了しました。学業に励む傍ら、大学在学中から自転車競技チーム「スミタラバネロパールイズミ」に所属し、競技者としてのキャリアをスタートさせました。若手選手として早期から頭角を現し、特に第1回全日本実業団U23選手権大会では見事優勝を飾るなど、学生時代から国内トップレベルの選手と肩を並べる実力を持っていました。

飯野は学業を終えた後も競技を続け、国内の主要なロードレースやトラックレースで多くの好成績を残しています。特に、全日本選手権や実業団レース、ステージレースなどで一貫して安定したパフォーマンスを発揮しました。主な戦績は以下の通りです。

2002年：大学在学中ながら、東日本実業団トラック大会においてチームスプリント種目で優勝を果たし、トラック競技でも才能を示しました。

2004年：全日本アマチュア選手権ロードレースでは9位となり、国内アマチュア最高峰のレースでトップテン入りを果たします。また、チャレンジサイクルロードレース大会のA-U（アンダーカテゴリー）クラスでも10位に入るなど、この年代からロードレースでの実力を確立していきました。

2006年：この年は選手として充実期を迎え、多数の好成績を残しました。高石杯関東地域自転車道路競走大会では男子団体での優勝に貢献。特に、チャレンジサイクルロードレース大会のA-E（エリートカテゴリー）クラスで4位、国内最高峰のロードレースである全日本選手権ロードレースでも7位と、トップ選手たちと互角に戦えることを証明しました。また、3日間のステージレースである3DAY CYCLE ROAD 熊野では総合9位となり、複数日にわたるレースでの総合力も示しました。

2007年：前年に引き続き、国内実業団レースを中心に活躍。全日本実業団・群馬実業団カップで7位、チャレンジサイクルロードレース大会A-Eクラスで9位、全日本実業団サイクルロードレース in 石川で9位と、安定して上位に食い込みます。さらに、国内で開催されるUCI公認ステージレースの一つであるツール・ド・北海道では総合10位という素晴らしい成績を収め、国内トップレベルのステージレーサーとしての地位を確立しました。全日本実業団クリテリウム in 南紀でも10位に入るなど、様々な形態のレースに対応できる選手であったことがうかがえます。

* 2010年：キャリア晩年においても競争力を維持。JBCF（全日本実業団自転車競技連盟）主催の西日本サイクルロードレースで5位に入賞しました。また、全日本選手権の個人タイムトライアル種目でも9位となるなど、独力でタイムと戦う個人タイムトライアルでも高い実力を持っていたことを示しています。

飯野嘉則は、アカデミックな背景を持ちながら、自転車ロードレースの世界で国内外の主要なレースで一貫して上位に入り続けた実績を持つ選手でした。特に、全日本選手権でのトップテン入りや国内ステージレースでの総合順位、そしてU23カテゴリーでの優勝経験は、彼のキャリアにおける重要なハイライトです。様々なタイプのレースで安定した成績を残せたことは、その総合力の高さを物語っています。日本のロードレース界における彼の貢献は、成績だけでなく、学業と競技を高いレベルで両立させた稀有な例としても記憶されるでしょう。現役引退後の活動に関する詳細な情報はありませんが、競技者として確かな足跡を残した一人と言えます。

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