香住原子力発電所

香住原子力発電所について

香住原子力発電所（かすみげんしりょくはつでんしょ）は、関西電力が兵庫県の香美町に建設を計画した原子力発電所です。このプロジェクトは1965年に町議会内で設立された「原子力発電所誘致対策委員会」を発足させることから始まりました。この年、日本で最初の原子力発電所である東海原発が臨界を迎えたことも大きな影響を与えました。

その後、1967年には神戸新聞が香住原発計画を取り上げ、大きな注目を浴びることとなります。この報道に続き、地域住民を含む多くの関心が寄せられましたが、計画はその後の動向によって多くの波乱を経験します。特に1970年には、当時の町長西上氏が誘致を断念するとの方針を表明しました。この決定は地域の人々にとって重大な問題であり、多くの反響を呼びました。

香住原子力発電所計画の特徴として、沸騰水型軽水炉を4基備えることが予定されており、合計の定格電気出力は75万キロワットと非常に高いものでした。このような高出力の原子力発電施設は、地域の電力供給に大きく貢献できると期待されていました。しかし、最終的には地域の意見や時代背景の変化を受けて、計画は実現には至りませんでした。

原発計画が破たんした背景には、環境問題や安全性への懸念、そして原発に対する国民の関心の高まりがありました。1970年代に入ると、原子力発電に対する疑問が増し、特にドイツやアメリカでの原発の事故が報道される中、日本でも原子力政策に対する批判が高まりました。このような状況の中で、香住原発への支持を失ったことが影響したのです。その後、地域でのさらなる調査や議論が行われましたが、結局のところ新たな発電施設の建設には至ることはありませんでした。

香住原子力発電所計画は、地域の発展やエネルギー供給に寄与するという期待を持ちながらも、地域住民の意見や社会的な情勢の変化により実現を果たせなかったケースの一つとして位置づけられます。こうした事例は、今後の日本のエネルギー政策においても重要な教訓を提供するものであり、地域とエネルギー政策の関わりを考えていく上での貴重な参考となることでしょう。

参考文献

• - 柴野徹夫 (著)『原発のある風景』 - 未来社（1983年） ISBN 4624410386
• - 中嶌哲演 , 土井淑平 (編)『大飯原発再稼働と脱原発列島』 - 批評社（2013年） ISBN 4826505744

このように、香住原子力発電所の計画は地域とのコミュニケーションや時代の潮流が密接に関連していることを示しています。

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