香取 (戦艦)

香取戦艦の歴史

香取（かとり）は、日本における海軍の象徴となった戦艦であり、大日本帝国海軍の香取型戦艦の最初の艦艇です。この艦名は千葉県に存在する香取神宮に由来し、香取型練習巡洋艦および海上自衛隊の練習艦「かとり」にも名を受け継いでいます。

建造と進水

香取は1904年2月、日本海軍によってイギリスに発注された際、甲鉄艦の一号艦として位置づけられました。同時期に鹿島が二号艦として発注され、艦名候補として葦原、諏訪、白山が考えられましたが、最終的には「香取」と名付けられました。1905年7月4日には進水式が行われ、有栖川親王夫妻が出席しました。香取は1906年5月20日に竣工し、同年5月28日に戦艦に類別されました。

皇室に関連する艦歴

香取は天皇の御召艦としても使用されました。例えば、1906年8月29日、当時5歳の裕仁親王（後の昭和天皇）が訪れ、艦を見学しました。また、1907年には皇太子が香取を御召艦として用いた巡啓も行われました。これには九州や四国を訪れる航海が含まれており、皇太子は各地の神社を参拝したり地元の文化に触れたりしました。

第一次世界大戦とその影響

戦艦香取は1914年に第一次世界大戦に参加し、中部太平洋での戦闘やサイパン島の占領に関与しました。その際、艦内に香取神社が設立されました。1916年には大規模な改装が施され、さらなる能力向上が図られました。

近代化と役割の変化

1917年、皇太子は香取に乗艦して山陰地方を巡啓し、地域の歴史的名所を訪問しました。大正9年には香取が四国・九州地方を巡る際の御召艦として再び活躍しましたが、この頃から艦の役割は大きく変化していきました。

廃艦と解体

香取は1923年にワシントン海軍軍縮条約により廃艦が決定され、除籍後、解体されることになりました。主砲や中間砲は日本陸軍に引き渡され、香取神宮には艦首に装備されていた菊花御紋章が保管されました。この紋章は大正天皇皇太子が欧州訪問時に香取が装備していたものであり、歴史的な意義を持つ貴重な遺物となっています。

結論

香取はその歴史を通じて日本の海軍力の象徴となり、近代海軍の変遷を物語る艦艇でした。皇室との密接な関係や国際的な役割の変化をともに経て、香取は日本の海軍史における重要な位置を占めています。その功績は、単なる軍艦としての役割を超え、国民に親しまれる存在となったのです。

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