香川のみどり百選

香川のみどり百選は、香川県が2004年（平成16年）に、県内に存在する自然景観の中から特に優れた100箇所を選定し、リスト化したものです。この取り組みは、県民が身近な自然環境の価値を再認識し、その保全と活用への関心を高めること、そして県内外に向けて香川県の豊かな自然の魅力を発信することを目的として実施されました。

選定にあたっては、単に山や森といった原生的な自然だけでなく、人々の生活と深く関わってきた里地里山、都市近郊の緑地、さらには海辺や島々の自然景観など、香川県の多様な風土を反映した幅広い「みどり」が対象となりました。

「香川のみどり百選」に選ばれた場所は、その性質や立地によって主に以下の四つのカテゴリーに分類されています。

市街地に近い緑
都市部やその周辺に位置する公園、街路樹、神社仏閣の境内、学校の緑地、あるいは都市近郊の里山などが含まれます。これらは、日々の暮らしの中で手軽に自然と触れ合える貴重な空間であり、人々に憩いや安らぎを提供すると同時に、都市の景観形成や生物多様性の維持にも寄与しています。

田園地帯の緑
香川県特有の扇状地やため池が多く存在する地形に広がる田園風景、棚田、ため池そのもの、そしてそれらを取り囲む農地や集落の緑が該当します。これらの緑は、日本の原風景ともいえる美しい景観を形成しており、農業生産の基盤であると同時に、豊かな生態系を育み、季節ごとの移ろいを感じさせてくれます。特にため池は、水不足に悩まされてきた香川県の歴史や文化と深く結びついています。

瀬戸内の緑
瀬戸内海に面した海岸線や、点在する多くの島々に広がる緑です。潮風に強い松林、温暖な気候を生かしたオリーブ畑や柑橘類の果樹園などが見られます。青く輝く海と空、そして緑の織りなすコントラストは、瀬戸内地域ならではの魅力を際立たせており、多くの観光客を惹きつける要素となっています。

讃岐山脈の水源の森
県の南部を東西に連なる讃岐山脈とその山麓に広がる森林地帯です。これらの森は、県内の主要な河川の源流地帯であり、清らかな水を育む水源涵養林として極めて重要な役割を担っています。豊かな植生や多様な野生生物が生息する貴重な自然環境であり、土砂災害の防止など多面的な機能も有しています。

「香川のみどり百選」の選定を通じて、これらの場所が改めて注目され、多くの人々に訪れる機会が提供されています。県では、選定された場所を紹介するマップや情報を提供することで、県民や観光客が香川県の多様な自然に親しみ、その価値を学ぶことを奨励しています。また、地域住民による保全活動や清掃活動の促進にも繋がり、これらの貴重な自然環境を未来に継承していくための機運が高まるが高まっています。

これらの100箇所の緑は、香川県の風土、歴史、文化と深く結びついており、県の魅力やアイデンティティを形作る重要な要素と言えるでしょう。

もう一度検索