香川元太郎

香川元太郎：画家、イラストレーター、そして絵本作家

香川元太郎（かがわ げんたろう、1959年-2024年12月12日）は、日本画家、イラストレーター、そして絵本作家として多岐にわたる活動を展開した著名な芸術家です。愛媛県松山市に生まれ、幼少期を迷路のような旧市街で過ごした経験は、後に彼の創作活動に大きな影響を与えました。

愛媛県立松山東高等学校を経て、武蔵野美術大学を卒業、同大学院修士課程を修了。在学中は日本画に没頭し、数々の公募展で入選を果たすなど、高い評価を得ていました。卒業後は東宝舞台に勤務し、東京宝塚劇場などの舞台背景美術を手掛けます。その後フリーランスとなり、日本画、歴史考証画、装画、絵本と、その活動は多様化していきました。

香川元太郎氏の作品は、精緻な描写と独特の視点で知られています。歴史的な建造物や日本文化への深い造詣は、彼の作品にリアリティと深みを与えています。特に、歴史考証に基づいたイラストレーションは高く評価され、数多くの書籍や出版物に採用されました。代表的な作品としては、『日本の城』（世界文化社）、『分解図鑑 日本の建造物』（東京堂出版）、『鳥瞰図でみる日本の城』（PHP研究所）、『戦国の城の全史』（学研）などがあります。

しかし、彼の名を世に知らしめたのは、なんといっても『迷路絵本』シリーズです。40代半ば、自身の残りの人生を考え、新たな創作活動として着想を得たこのシリーズは、子供たちが夢中になるユニークな仕掛けと、精緻で美しいイラストレーションによって、大きな成功を収めました。累計300万部を超えるミリオンセラーとなり、スマートフォンアプリとしても展開、韓国、台湾、中国など海外でも翻訳出版されるなど、世界中に多くのファンを獲得しました。また、『かずの冒険』シリーズ（小学館）など、子供向けの絵本制作にも力を注いでいました。

香川元太郎氏の作品は、単なる絵画やイラストレーションにとどまらず、日本の歴史や文化、そして子供の豊かな想像力を育むための創造的な表現の場として、多くの人々に感動を与え続けました。日本画教室の講師を務めるなど、後進の育成にも尽力していました。

2024年12月12日、心室細動のため65歳で急逝されました。日本の芸術界に大きな損失をもたらしましたが、彼の残した作品は、これからも多くの人々に愛され、語り継がれていくことでしょう。彼の公式ウェブサイトであるKAGAWA GALLERYや、X（旧Twitter）アカウント(@mazegenta)では、彼の作品や活動についてより深く知ることができます。

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