心室細動

心室細動（Ventricular Fibrillation）

心室細動は、心臓が正常に機能せず、血液を効果的に全身に送れなくなる不整脈です。この状態は、不規則な電気刺激によって心筋が混乱し、結果として心臓の心室が小刻みに震えることから発生します。これにより心拍数が正常から急激に180-200を超え、その後数秒以内に心拍が無くなることがあります。そのため、心室細動は非常に危険な状態で、早期の対応が生命を救うカギとなります。

概要

心臓は正常な機能のために、電気信号が適切に伝わり、順序正しく収縮を繰り返す必要があります。しかし、心室細動ではこの電気信号が乱れ、心筋の収縮が無秩序になってしまいます。これによって心拍数の急上昇や停止が生じ、最終的には心停止や死亡に至るリスクがあります。

原因

心室細動の主な原因には、心筋梗塞や心臓弁膜症などの心疾患が挙げられます。特に、急性心筋梗塞に伴って初めて発生することがしばしば見られます。さらに、若年層ではブルガダ症候群やQT延長症候群といった遺伝による要因も関与することがあります。加えて、心臓に異常がない場合でも、脱水症状や栄養不良、腎機能障害によって血中のカリウム濃度が異常をきたし、QT延長を引き起こし心室細動を誘発することがあります。特に小児においては、胸部に衝撃を与えること（例えば、キャッチボールの際のボールが胸に当たる等）が心臓震盪を引き起こし、突然死の原因とされることがあります。また、感電や電気ショックも心室細動を引き起こす要因となります。

症状

心室細動の症状は急激に発現し、以下のような重篤な症状を伴います：

• - 脈拍の消失
• - 意識の喪失
• - 全身の痙攣
• - 呼吸停止または苦しそうな呼吸（死戦期呼吸や下顎 呼吸）

治療

心筋細動中の心筋細胞は互いに異常に興奮し続け、多くのエネルギーを消耗しています。電気的除細動はこの異常興奮を停止させ、心臓の正常なリズムを取り戻すための治療法です。この介入を発症後2-3分以内に行うことが、心拍の回復に繋がります。もし心拍の回復が見込めない場合、心肺蘇生法（CPR）と並行して繰り返し除細動を実施する必要があります。心室細動が続くと、心臓が停止してから約3分以内におよそ50%が死亡するリスクが生じるため、迅速な対応が求められます。

さらなる対策として、救急救命士の育成や電気的除細動器の普及、適切な救命施術が重要です。心室細動から回復した後には、原疾患の治療を行い、再発を防ぐために植え込み型除細動器（ICD）の使用が推奨されます。

関連項目

• - 不整脈
• - 心停止
• - 心房細動
• - 心肺蘇生法（CPR）
• - 一次救命処置（BLS）
• - 二次救命処置（ACLS）
• - 電気的除細動
• - 自動体外式除細動器（AED）
• - 植え込み型除細動器（ICD）

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