香川用水

香川用水

香川用水は、香川県における慢性的な水不足を解消するために建設された多目的水路です。香川県は、年間を通して降水量が少なく、大きな河川も少ないため、古くからため池を築いてきましたが、十分な用水を確保できていませんでした。一方、讃岐山脈を挟んだ徳島県側では、吉野川の洪水被害が頻発していました。これらの問題を解決するため、吉野川総合開発事業が計画され、香川用水はその一環として建設されました。

建設の背景

香川県は、季節風によって運ばれる水蒸気が山地によって遮られ、乾燥した空気が流れ込みやすい地形です。そのため、年間を通して降水量が少なく、慢性的な水不足に悩まされていました。この問題を解決するため、古くから多くのため池が築かれてきましたが、十分な用水確保には至りませんでした。

また、讃岐山脈を挟んだ徳島県側では、吉野川の洪水被害が度重なっていました。そこで、吉野川流域の安全確保と水資源の安定供給を目指し、吉野川総合開発事業が計画されました。この事業の一環として、早明浦ダム、池田ダムとともに香川用水が建設されることになりました。

1974年、総工費3200億円（うち香川県負担分1154億）をかけて香川用水は完成しました。水源は吉野川にある早明浦ダムで、蓄えられた水は池田ダムから讃岐山脈を貫通するトンネルを通って香川県へと導かれ、県内各地へ農業用水、水道用水、工業用水を供給しています。

水問題

香川用水の完成後、香川県内の水事情は大幅に改善され、かつてのような深刻な水不足はほとんど発生しなくなりました。そのため、県内では香川用水から取水する自治体が急増し、中には100%香川用水に頼る自治体も現れました。しかし、1994年夏に大渇水が発生。早明浦ダムの貯水量が底を突き、香川用水への水の供給が大幅に削減される事態となりました。

この渇水により、香川用水に依存していた水事情が仇となり、県内ほぼ全ての自治体で長時間の断水が行われるなど、市民生活や経済活動に大きな影響が出ました。この出来事を教訓に、香川県や各自治体は、香川用水への依存度を下げるため、独自の水源を確保するなど渇水対策に取り組んでいます。

関連施設

香川用水取水工: 池田ダムから1.8km上流の吉野川左岸に位置し、香川用水に水を取り込みます。
東西分水工: 吉野川から取水され、阿讃トンネルを抜けた水が東部および西部幹線水路に分配されます。周辺は香川用水記念公園として整備されています。
東部幹線水路: 三豊市で高瀬支線に分かれ、その後、琴平町、まんのう町、丸亀市、綾川町、高松市、三木町、さぬき市と経て、東かがわ市まで伸びる全長約74kmの幹線水路です。
香川用水調整池（宝山湖）: 東部幹線水路の途中、三豊市にある貯水量300万m³の貯留施設です。
西部幹線水路: 三豊市の東西分水工から、観音寺市まで流れる全長約13kmの幹線水路です。
高瀬支線水路: 東部幹線水路から分かれ、三豊市高瀬町まで流れる全長約11kmの水路です。
浄水場: 西部（三豊市）、中部（琴平町）、綾川（坂出市）、東部（高松市）の4つの浄水場があり、まんのう町を除く8市5町で水道水として利用されています。

外部リンク

独立行政法人水資源機構
独立行政法人水資源機構　吉野川本部
独立行政法人水資源機構　香川用水管理所
* 香川用水（かがわようすい） - NHK for School

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