香林寺 (関市大杉)

香林寺は、岐阜県関市大杉に位置する臨済宗妙心寺派の寺院で、耕雲山と号します。本尊は聖観世音菩薩です。この寺院は、天正11年（1583年）8月に伝芳慈賢によって耕雲庵として開山されました。その後、元文2年（1737年）に晦翁智覚によって現在の香林寺という寺号に改められました。

香林寺の境内には本堂の他に大師堂があり、中濃八十八ヶ所霊場の八十三番札所として、多くの参拝者が訪れます。この霊場は、地域の信仰と歴史を今に伝える重要な場所となっています。

特筆すべきは、昭和30年（1955年）に寺院の境内から古代瓦が発見されたことです。この発見を契機に発掘調査が行われ、その結果、かつてこの地に古代寺院が存在したことが明らかになりました。この古代寺院跡は「大杉廃寺」と名付けられ、現在は関市の史跡として保護されています。香林寺の歴史は、この古代寺院の歴史と深く結びついており、この地が古くから信仰の場所であったことを物語っています。

また、関市には同名の寺院がもう一つ存在することにも注意が必要です。関市西神野には花木山香林寺という別の寺院があります。したがって、香林寺を訪れる際には、所在地を間違えないように注意が必要です。

香林寺は、長い歴史の中で地域の人々に信仰され、親しまれてきた寺院です。その境内には、歴史の重みを感じさせる建物や史跡が残り、訪れる人々に深い感動を与えます。古代寺院の面影を残す場所として、また、中濃八十八ヶ所霊場の札所として、香林寺はこれからも多くの人々にその存在を伝えていくことでしょう。香林寺の歴史は、関市の歴史、そして日本の歴史の一部として、後世に語り継がれるべき大切な遺産です。

参考文献:『新修関市史　通史編　近世・近代・現代』　p453　関市

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