香港政庁

香港政庁は、1997年7月1日に香港が中華人民共和国に返還されるまで、イギリスが設置していた香港統治機関に対する日本語での呼称です。香港植民地政府、英領香港政府などと呼ばれることもあります。

返還以前は、中国語で「香港政府」、英語で “Government of Hong Kong”と呼ばれていましたが、これらの呼称は現在の香港特別行政区政府に対しても使われています。区別が必要な場合は、中国語で「香港殖民地政府」、英語で“Colonial Government”などと呼ぶことがあります。その他、「港英政府」や “British Hong Kong Government” という呼称も存在します。

概要

香港政庁のトップは香港総督であり、返還後は行政長官がその地位を引き継ぎました。以下に、香港政庁の主な機関と役職、そして返還後の香港特別行政区政府における対応する名称を示します。

香港政庁の役職・組織の中国語名には、布政司や按察司など、近代以前の用語に由来するものが見られます。これらの用語の本来の意味については、「布政使」「按察使」を参照するとより深く理解できます。

司法府、立法府

• - 香港最高法院 → 組織自体は高等法院へ格下げされました。さらに、高等法院の上位に終審法院が新設されました。裁判官（判事）の名称は「按察司」から「法官」へと変更されました。
• - 上訴法院 → 高等法院上訴法庭に相当します。
• - 原訟法院 → 高等法院原訟法庭に相当します。
• - 地方法院 → 区域法院に相当します。
• - 立法局 → 立法会に引き継がれました。

行政府

返還前の「司」は役職名でしたが、返還後は組織の名称となりました。役職としての「司」は、現在「司長」とされています。返還前には、布政司、財政司、律政司の間には上下関係が存在しましたが、返還後は3人の「司長」は序列は維持しつつも、対等な地位となりました。

返還後の「局」（決策局）は、以前は布政司署に所属する「科」（決策科）であり、「科」の首長も「司」でした。以下に示す返還後の決策局の名称は、返還直後のものであり、現行の構成については、香港特別行政区政府の#決策局の構成を参照してください。

• - 行政局 → 行政会議に相当します。
• - 布政司（1976年以前は「輔政司」）→ 政務司司長に相当します。
• - 布政司署 → 政府總部。別途、「政務司司長辦公室」が設けられましたが、これは以前の布政司署とは異なり、香港政府全体を統括するものではありません。
• - 憲制事務科 → 政制事務局に相当します。
• - 政務科 → 民政事務局に相当します。
• - 公務員事務科 → 公務員事務局に相当します。
• - 教育統籌科 → 教育統籌局に相当します。
• - 運輸科 → 運輸局に相当します。
• - 工務科 → 工務局に相当します。
• - 衞生福利科 → 衞生福利局に相当します。
• - 規劃環境地政科 → 規劃環境地政局に相当します。
• - 保安科 → 保安局に相当します。
• - 工商司 → 工商局に相当します。
• - 文康廣播司 → 文康廣播局に相当します。
• - 經濟科 → 經濟局に相当します。
• - 金融司、財經事務司 → 財經事務局に統合されました。
• - 庫務司 → 庫務局に相当します。
• - 財政司（1939年以前は「庫政司」）→ 財政司司長に相当します。
• - 律政司 → 律政司司長に相当します。
• - 律政署 → 律政司に相当します。
• - 駐香港イギリス軍 → 撤退し、代わりに人民解放軍駐香港部隊が進駐しました。
• - 陸軍の中国本土との境界監視業務 → 香港警察に移管されました。
• - （皇家香港輔助空軍） → 返還前の1993年に政府飛行服務隊に改組されました。

関連項目

• - 香港の歴史
• - イギリス領香港
• - マカオ政庁

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