香積寺 (豊田市)

香積寺（こうじゃくじ）の概要

香積寺は愛知県豊田市足助町飯盛にある曹洞宗の寺院で、山号は飯盛山（はんせいざん）です。この寺は歴史的にも重要な場所であり、地域の信仰と文化を支えてきました。開基は関白の二条良基で、彼の娘である滝野や孫の成瀬氏など、地域住民の願いを込めて建立されました。

寺院の由来

香積寺は1417年（応永34年）に白峰祥瑞禅師によって開山され、その名前は仏教の経典から由来しています。寺はかつての足助氏の居館跡に位置しており、滅亡した足助氏の菩提を弔う目的で設立されました。本尊として聖観世音菩薩が安置されており、多くの信者が訪れます。境内には江戸時代後期の座禅堂も残り、本堂の脇には開山当初からの豊栄稲荷が鎮座しているのが特徴です。

文化財と歴史的遺産

飯盛山には歴代の住職の墓所や、十六羅漢の石仏が点在しています。また、足助城の主であった鈴木氏の墓もあり、二条良基が亡くなったことを聞き、滝野が彼の装束を埋めた「装束塚」の伝説も残っています。そして、山頂近くには平安時代の末法思想に基づいて埋められた「経塚」が存在し、歴史的にも価値が高いとされています。

著名な住職たち

香積寺には数々の著名な住職が在籍しています。特に、11世住職の参栄本秀は1634年の頃から、巴川沿いの参道にカエデやスギを植え、地元では「もみじの開祖」として知られています。その後、彼の功績がステップとなり、大正から昭和にかけて住民たちによる植樹が行われた結果、香嵐渓は紅葉の名所として名を馳せることとなりました。25世住職の風外本高は、書画に秀でた人物で、その作品は香積寺の秋の「もみじ祭り」の際に一部公開されていましたが、現在は豊田市美術館に保管されています。

伽藍の構成

香積寺の伽藍には、本堂、庫裏、禅堂、衆寮、総門などがあります。本堂は1722年に建立され、桁行8.5間、梁間7.5間の大きさを誇ります。かつては茅葺きでしたが、現在は鉄板葺きになっています。庫裏や禅堂も江戸時代に建てられた歴史ある建物であり、全体として地域の文化と伝統が色濃く表現されています。総門は江戸時代初期に建立され、薬医門としての機能を持っています。

文化財の指定

香積寺は愛知県指定の文化財として、史跡や絵画、彫刻、工芸品が数多く存在します。特に、飯盛城址や江戸時代後期の風外の作品群、平安時代の木造毘沙門天立像などが重要な文化財とされ、地域の歴史を物語っています。香積寺は観光名所としても有名で、多くの訪問者がこの歴史的な寺院を訪れています。日本の伝統文化を感じることができる場として、多くの人々に愛され続けています。

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