香西宏昭

香西 宏昭（こうざい ひろあき）は、1988年7月14日に神奈川県茅ヶ崎市で生まれた日本のプロ車椅子バスケットボール選手です。スモールフォワードとして活躍し、現在はドイツのブンデスリーガに所属するRSV Lahn Dillと、日本国内ではNO EXCUSEでプレーしています。長年にわたり、車いすバスケットボール男子日本代表チームの中心選手として国際舞台で戦い続けています。

経歴

生まれつき両足に障がいを持って生まれた香西氏は、小学6年生の時に車いすバスケットボールの体験会に参加したことが競技との出会いでした。その場で指導にあたっていた選手の誘いを受け、クラブチーム「千葉ホークス」に加入します。中学1年生の夏休みには、札幌で開催された車いすバスケットボールキャンプに参加し、後にイリノイ大学とカナダ代表のヘッドコーチを務めるマイク・フログリーから指導を受け、その才能を開花させます。千葉ホークスでは、2005年から3年連続で日本車椅子バスケットボール選手権大会優勝に貢献し、2006年と2007年には大会MVPに選ばれるなど、国内で実績を積みました。

高校卒業後の2007年夏、香西氏は競技レベル向上を目指して渡米し、イリノイ州のコミュニティカレッジで学び始めます。2010年1月には、以前指導を受けたフログリー氏がヘッドコーチを務めるイリノイ大学に編入。イリノイ大学では、2010年の全米大学選手権でチームの優勝に貢献し、その後も2011年、2012年と2年連続で準優勝を経験しました。2012年と2013年にはチームキャプテンとしてチームを牽引し、全米大学リーグのシーズンMVPを2年連続で受賞するなど、大学バスケ界で確固たる地位を築きました。

2013年8月に大学を卒業すると、同年9月にはプロ選手としての道を歩み始め、ドイツ・ブンデスリーガのハンブルクとプロ契約を結びます。2014年には日本国内での所属チームをNO EXCUSEに変更。2017年にはブンデスリーガの名門であるRSV Lahn Dillに移籍し、2017-18シーズンにはドイツカップ優勝、リーグ戦では2シーズン連続で準優勝という好成績を残しました。東京パラリンピックに向けた準備のため、2019年にRSV Lahn Dillを一度退団して日本に活動の軸足を移しますが、2021年の東京パラリンピック終了後に再びRSV Lahn Dillの一員となっています。

日本代表としての活躍

香西氏は、高校1年生でU-23車いすバスケットボール男子日本代表に選ばれて以来、常に世代別、そしてフル代表の中心選手として活躍してきました。2005年のジュニア世界選手権ではチームの準優勝に貢献し、自身もオールスター5に選出されます。2006年には早くもシニアの日本代表に名を連ね、IWBF車いすバスケットボール世界選手権に出場。パラリンピックには、北京2008で初出場して以降、ロンドン2012、リオデジャネイロ2016、そして東京2021と、実に4大会連続で出場しています。

特に地元開催となった東京2021パラリンピックでは、チームの銀メダル獲得という歴史的な快挙に大きく貢献しました。この大会で香西氏は、通算フィールドゴール成功率55.1%で全体の3位、そして3ポイントシュートでは成功数14本、成功率51.9%がいずれもトップという驚異的なスタッツを残し、その卓越したパフォーマンスは、イリノイ大学時代から香西氏を知るアメリカ代表ヘッドコーチのロン・ライキンスをはじめ、世界の多くの関係者やファンから惜しみない称賛を受けました。

プレースタイル

香西選手の最大の特長は、ワールドクラスのスキルとバスケットボールIQの高さにあります。単なるシューターに留まらず、自ら積極的に得点を狙うと同時に、周囲の状況を的確に判断して味方の得点をアシストする能力にも長けたオールラウンダーです。アメリカの大学リーグやドイツのプロリーグで長年プレーした経験を通じて培われたスピード、高度なテクニック、そして高精度なシュート力は、日本の車椅子バスケットボール界においてエースと称されるにふさわしい存在であることを証明しています。常に冷静沈着でありながらも、ここぞという場面で決定的な仕事をやってのける勝負強さも兼ね備えています。

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