馬場紀寿

馬場紀寿 - 仏教学の第一人者

馬場紀寿（ばば のりひさ、1973年 - ）は、日本の著名な仏教学者であり、東京大学東洋文化研究所の教授を務めている。青森県の出身で、1996年に花園大学文学部を卒業後、2000年に東京大学文学部を卒業。その後、2006年に同大学大学院人文社会学系研究科で博士号を取得した。彼の研究は古代インド仏教および上座部仏教に焦点を当てており、特に彼の博士論文は「三明説の伝承史的研究：部派仏教における仏伝の変容と修行論の成立」と題され、仏教史における重要な理論を展開している。

彼の経歴には多くの重要な役職があり、2006年には東京大学東洋文化研究所の助手に就任し、翌年には助教、そして2010年には准教授となった。2019年からは教授としての職務を遂行しているほか、東京大学研究倫理推進室の室員としても活動している。

研究の主な焦点

馬場の研究分野は、主に古代インド仏教と上座部仏教に特化している。彼の著書『上座部仏教の思想形成-ブッダからブッダゴーサへ』（2008年）は彼の博士論文を基にしたものであり、日本南アジア学会賞や日本学術振興会賞を受賞している。彼の分析は、仏教史におけるブッダゴーサの位置づけを新たに示すものである。

アカハラ疑惑と論争

馬場と清水俊史との間には、ブッダゴーサに関する学問的立場を巡る論争が存在する。2016年以降、両者はアカデミック・ハラスメント（アカハラ）や出版妨害をめぐる議論を繰り広げている。馬場はブッダゴーサが大乗経典を恣意的に排除し、上座部仏教の教義が改ざんされていると主張し、これに対して清水は彼の見解に異を唱え、ブッダゴーサが経典を改ざんすることはないとの立場を取る。この論争は、宗教界における歴史的な文献の価値や信頼性に対する重要な問題を提起している。

この論争は特に2017年に清水の著書の出版を巡り、馬場からの圧力があったとされ、これがアカデミック・ハラスメントとして問題視された。上蔵出版はこの事案を重大な事態として捉え、その後第三者委員会の調査も行ったが、馬場の行動については否定的な見解が示された。

その他の研究業績

馬場は、学問における誤解や誤信に対する姿勢にも注目されており、彼の著書には多くの批判も向けられている。特に佐藤哲朗との論争では、彼の著作における誤記が指摘され、結果として共演のキャンセルという事態へと発展した。これらの事例は、学問が持つ社会的影響力とその責任を再考させるものである。

受賞歴

馬場紀寿は数々の学術賞を受賞しており、その中には日本南アジア学会賞や日本印度学仏教学会賞、東方学会賞などがある。これらの受賞は、彼の研究が学問分野においていかに大きな影響を与えているかを示す証拠でもある。

結論

馬場紀寿は、歴史的かつ学問的な視点から仏教の研究を深めている著名な学者であり、彼の業績は今後も多くの研究者に影響を与え続けるだろう。また、彼の研究に対する論争や批判は、学問の健全な発展に不可欠な議論を生む土壌となっている。馬場は、その立場を利用して仏教学のさらなる発展を目指しており、彼の今後の活動にも注目が集まっている。

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