馬関電灯

馬関電灯株式会社の概略

馬関電灯株式会社（旧字体: 馬關電燈株式會社）は、明治から大正初期にかけて存在した日本の電力会社であり、中国電力ネットワークにおける重要な事業者の一つでした。設立は1896年で、山口県下関市に本社を置き、火力発電を通じて電気を供給しました。これは山口県における唯一の電気事業者でありましたが、他の地域には進出せず、1916年に九州電灯鉄道（後の東邦電力）と合併することになります。

設立と開業

日本における電気事業は、1887年に東京電灯が開始し、その後、中国地方にも広がりを見せました。1894年には岡山電灯が、1895年には下関市の電気事業が発起されました。当社は、地方の有力者が発起したことにより、1896年6月18日に設立されました。資本金は当初6万円で、社員から馬関商業銀行の頭取である松尾寅三が社長に就任しました。

開業は1896年11月で、火力発電所から下関市内に電気を供給しました。開業直後は約200戸の需要家に対して900灯余りの電灯を供給し、電灯料金は月額1円25銭でした。

開業後の展開

当初、電灯の需要は緩やかに伸びましたが、1902年には供給灯数が2,000灯を、1906年には3,000灯を超えました。大正時代に入ると、需要の増加が加速し、1913年には約8,000戸の需要家と約21,000灯の電灯を供給するまでに成長しました。このような需要伸長は、供給料金を引き下げる努力の結果でした。1910年からは発電所が竹崎町に移転し、出力も増強され、1913年には800キロワットに達しました。

合併とその後

1912年には経営陣に松永安左エ門が加わり、1914年に社長が松尾から宝辺岩次郎に引き継がれました。そして、九州電灯鉄道との合併が提案されます。1916年には合併契約を結び、馬関電灯は解散し、九州電灯鉄道に組み込まれました。これにより、下関市内の供給区域は九州電灯鉄道によって拡大し、その後も周辺電力会社との統合が進みました。

発電所の変遷

馬関電灯は、観音崎町に創業当初の発電所を設置しましたが、1908年には新しい竹崎発電所に移転し、設備も大幅に増強されました。発電所では石炭を用いた火力発電を行い、さらに1903年には新しい設備を導入し、1912年には能力が約1,250キロワットに達しました。この発電所は、九州電灯鉄道を経て1933年に山口県営となりましたが、その後廃止され、現存はしていません。

結論

馬関電灯株式会社は、明治から大正時代にかけて下関市において重要な役割を果たした電力会社でした。合併によってその歴史は幕を閉じましたが、地域の電力供給の発展に寄与した事業であったと言えます。

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