駐留軍用地特措法

駐留軍用地特措法の概要

駐留軍用地特措法（ちゅうりゅうぐんようちとくそほう）とは、日本とアメリカの間の安保条約に基づいて、在日米軍基地用の土地を提供するために設けられた特別措置法のことです。正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法」で、1952年に公布されました。法令番号は昭和27年法律第140号です。

制定背景と沖縄基地問題

この法律の制定は、1951年に日本とアメリカが締結した旧安保条約に起因します。この条約により、日本は米軍に基地用地を提供する義務が生じました。戦後直後から米軍は国有地や民公有地を問わず基地用地を接収していましたが、日本の主権が回復した際には、強制的な接収から合意に基づく提供へと変更されました。この際、日本国政府は土地所有者と賃貸借契約を結び、米軍に土地を提供することとなりました。

しかし、一部の土地所有者は反米感情から合意に応じづらく、国は米軍への用地提供を義務付けられたため、土地の共同使用をスムーズに行える手段が必要となりました。当時既存の土地収用法は手続きが厳格で時間がかかるため、この特措法が策定されたのです。1952年に提出された本法案は、賛成と反対が交錯した中で可決成立しました。

用地選定と適用

用地の選定の権限は内閣総理大臣（現在は防衛大臣）にあり、駐留軍に必要な土地を適正かつ合理的に判断することで、国内の土地を使用または収用できます。補償は支払われますが、当初、国有地の大半が用地として提供されていたため、この法律の適用はそれほど多くありませんでした。

1961年以来適用例はありませんでしたが、1972年に沖縄が日本に返還され、その後も多くの在日米軍基地が集中する地域であったため、再びこの法律が注目されるようになりました。沖縄では、アメリカの統治下において膨大な面積の土地が接収され、現在も多数の地主が米軍基地に対する土地返還を求める声を上げており、さらに反戦地主も増えています。また、国有地の中には無償収用された土地が含まれており、旧地主は返還訴訟を行うケースも見られました。

特措法の改正と反対運動

1995年には、沖縄県知事が手続き上の代理署名を拒否したことが発端となり、地権者から即時の土地返還が求められました。この結果、継続して使用するための法改正案が提出され、更新を拒否された場合でも「暫定使用」を認めるなど、土地の使用条件が緩和されました。沖縄では強い反対運動が起こりましたが、本土では関心が薄かったため、改正案は衆議院で圧倒的な賛成で可決されました。

最終的に、2013年には最高裁判所が駐留軍用地特措法改正の合憲性を認める判決が下され、この法律が日本の安全保障の枠組みと深く結びついていることが証明されました。沖縄における米軍基地問題は、今も政治や地域社会に影響を与え続けています。

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